共産戦隊セキグンジャー

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4:アーリア:2017/04/07(金) 18:34


3、あの五人組

 東京市に滞在して10日目。俺は今、満州国の領事館内で査証の発行を受けたところであった。以前は日本国民であれば査証なしで居住や仕事が出来たのだが、ちょうど3年前に満州国は日本国民に対しても査証の無い者は仕事は出来ない制度にしたのである。単なる居住に関しても1年を超える場合は査証が必要となった。

「これで新京へ行けるぞ! 」

 俺は喜んだ。これで東京○○ランドとは比べ物にならないほどの夢の国、満州国へ行けるのだから。しかもそこで仕事も出来る。

「我々は共産戦隊セキグンジャーである。お前は、悪のシサンカーの娘だな! 成敗してやる」

 突如、どこかで聞いたことのある声がした。
 その声のする方向を向くと、あの気持ち悪い5人組が居たのだ。全身の殆どが赤一色に包まれ、胸から腹の辺りに大きく絵がかれた星マーク。そして頭の上には金色の、釜と槌のソビエトマークが装着されている。どう見ても気持ち悪い。
 その五人組は一斉にゲバ棒で少女をリンチする。

「た、助けて! 」

 少女は必死に助けを請う。

「ちょっと待て。お前ら何をしてるんだ」

 俺はその五人組に抗議した。

「お前は悪のシサンカーの仲間か! 成敗するぞ。この娘はな、父親が大企業の筆頭株主であることを良いことにクラスメイトをいじめていたのだ。こいつのせいで組合の教師たちも多くが犠牲になった」

 なるほど。この少女も可愛らしい顔して、とんでもない悪さをしていたらしい。

「ま、まあ私はこれ以上関わりませんが、警察とか呼ばれないようにね・・・・・・」

 放っておこう。闇金の奴らがリンチされていた時なんか、何も思わず逃げたんだ。あの五人組の言葉を信じるなら少女も悪さをしているではないか。その点、闇金と何ら変わらない。
 俺は心の中で正当化させながら、この場を後にした。


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