再び、雷が轟音を立てて鳴った。
カーテンは全て閉めきっているが、それでも白い光を放っているのがよくわかった。
雷が白い光を放つ度に、一瞬だけ教室の様子が少しわかる。
俺達は四人ずつ向かい合う形に机と椅子を移動させ、そこに座った。
「何かあったら、この懐中電灯を使って」
大槻はあらかじめ用意しておいた懐中電灯を、机の上に置いた。
「それで……最初は誰から話すの?」
準備が整ったところで、名取が早速【犯人探し】を始めようとした。
「出席番号順とか?」
名取に続き、声を発したのは萩野。
「んー……じゃあ、笠原からで」
西尾の声に、名前を呼ばれた彼女は驚いたような声を上げた。
「……え?何で私?」
「向かいに笠原がいたから、なんとなく」
西尾のその言葉で、初めて彼の向かい側の席に笠原がいるということがわかった。
笠原は溜め息混じりの声で答える。
「別にいいけど……。本当に話していいの?タブーな話とかも?」
その言葉は、大槻に投げ掛けてるのだと思っていた。
しかし意外にも、返事をしたのは西尾だった。
「ああ……構わねぇよ」
その声は、投げやりのように聞こえた。
だが、それよりも気になったのは笠原が言った【タブーな話】だった。
俺には、そのことがいまいちよくわからなかった。
彼女は何か隠しているのだろうか。
いや、西尾は彼女の【何か】を察していたような感じがした。
もしかして、二人は何か秘密を共有しているのだろうか。
聴覚を研ぎ澄ましながら話を聞いていると、様々な考えが浮かんでくる。
話してる人の声色や間の開け方、話す速さ次第でその人の気持ちがよく伝わってくるからだ。
もし、誰かが嘘をついたら、見破れる可能性だってあるかもしれない。
「それじゃあ、話すね」
俺は目を軽く閉じ、笠原の話を聞くことに集中させた。
「実は私___」
彼女がそう切り出した時、外で雷が激しく轟いた。