3.家出仲間
電車に乗って、マンガを読む。
私の夢は、ズバリ!
マンガ家なのです!
絵をいっぱいいっぱい描くんだ!
そうだ。
家出した子の絵を描こう。
ママに会ったら、つき出してやるんだ。この子かわいそうでしょって。
そう言えば私、どこで降りよう。
私、どこへ行こう。
親戚の家が一番いいから、ママが苦手な叔母さん家へ行ってみよう。
絶対楽しいぞ!
ウキウキ、ランラン、ルンルンルン!
確か、降りる駅は、里賀。
「マオ!そんな荷物持ってどこへ行くの!?」
この子は、クラスのめんどくさい学級委員長、大堀沙矢子。
慣れなれしく、マオって呼んでくるのよねぇ。
呼び捨てで。
「大堀さんこそ、大きな荷物持ってどうしたの」
もしかして、家出?
ちょっと答えを楽しみにしていると、大堀さんはため息をついた。
「お母さんとケンカしたの。私、家に帰りたくない」
あら、家出じゃない。
ちょっとクスッっと笑ってしまうと、大堀さんは怒った。
そりゃ、イヤだよねぇ。
私なんかに笑われちゃあ。
「マオはどうしてなのよ」
「家出。親戚の家行くの」
大堀さんも、クスッっと笑った。
何か、いい気分じゃないね。
でもさ。
大堀さんがイヤだったなら、私に笑わないでほしいな。
「同じ家出ね。私も親戚の家行こう」
大堀さんのことは知らないけど、親戚の家行くなら、私も親戚の家に決定。
ところで私、どこで降りるんだっけ?
「次は、籠尾ー、籠尾ー」
駅マップを見ると、里賀は過ぎている。大堀さんの、バカァ!