「 1 」
9月 新学期
1ヶ月ぶりの教室はなんだか懐かしく感じた。
「おはよ、あやな!」
「まなみおはよ」
笑顔で私に駆け寄って来たのは1年生の頃から仲良しのまなみ。
2年でも奇跡的同じクラスで今も大親友だ。
「夏休みどうだった?」
「楽しかったよ〜」
「健太くんと、デートした?」
まなみがニヤニヤしながら聞いてきた。
健太とは私の彼氏のこと、もうすぐ半年になる。
「あんまりできなった、なんか忙しかったみたい」
「そうなんだ、あ噂をすれば御本人の登場です」
振り返ると健太が笑顔で手招きをしていた。
私が笑顔で駆け寄ると私の頭を優しく撫でた。
「相変わらず赤ちゃんみたいだなー」
「うるさい、てかどうしたの?」
「あ、今日用事できて一緒に帰れなくなったんだ」
「はー?またー?」
「ほんと、ごめんな?」
そんな顔で謝られると許さない、とは言えない。
「分かったよ、また今度アイスおごってね」
「おけおけ、じゃまたな!」
そう言って彼はまた私の頭を撫でて、ニコッと微笑んですぐ立ち去っていった。
もうすぐ付き合って半年だって言うのにまだ付き合いたてのようにドキドキして、会うたび健太を好きになっていく。
「なにニヤニヤしてんだよっ」
「健太って本当にかっこいいよね」
「のろけるなー!」
まなみが私のほっぺをつねった。
あぁ、きっと私はこの世界中で1番の幸せ者だ。
大切な親友もいて、大好きな人もいて、これ以上の幸せなんてないよ。
この幸せがずっとずっと続きますように。
そう願った9月のはじめ。