「 4 」
暖かい思い出を振り返ってフワフワしてた私は鼻歌をうたいながら歩いた。
「なに言ってんの?約束違くない?」
「仕方ないだろうが」
聞き覚えのある声がして恐る恐る近付いて見るとそのに見えたのは健太とまなみの姿だった。
「もう私、言ってもいい?」
「なにを?」
「あやなに本当のこと」
本当のこと?
いきなり過ぎるその状況に私の頭はまったくついて行けなかった。
「待てよ!ちゃんとするから」
「それ何回目?もう私あやなからあんたの話聞くの嫌なんだけど耐えれないんだけど?」
耐えられない..
私、まなみにのろけすぎてたのかな?
「今日蹴りつけるから」
「言ったね?約束だからね?」
そして健太はまなみの頭を撫でた。
私の頭を撫でる時と同じように、同じ笑顔で。
「なにしてんの?」
「…あやな!?」
2人はしまったと言わんばかりの顔で後ずさりをした。
「約束ってなに?本当のことってなに?」
「いや、違うのあやな」
「耐えれないってなに?蹴りつけるってなに?」
「あやな聞いて」
まなみが私に近付いて来た。
「近寄らないでよ」
「あやな…」
私は今にでも泣き出しそうだった。
「気分悪い..」
「どうしたの?」
「アンタら2人気持ち悪すぎだね」
「影でこそこそ浮気して表では好きとか言ってみたり親友のふりして裏では愛し合ってんの?笑わせんな、汚いんだよ、見てるこっちが吐きそう。」
まなみは黙って下を向いて泣いていた、健太は冷たく私に言い放った。
「泣かしてんじゃねえよブス、吐きたきゃ吐けよ」
「健ちゃん大丈夫だから」
「健..ちゃん?」
健太くん、健太くん、健太くん、健ちゃん。
まなみが健太を呼んでいる声が頭の中で再生されて何かが胸から喉にこみ上がった。
「…おえっ」
「まじじゃん」
本当に吐いてしまって思わず腰が抜けた。
「あやな大丈夫?」
「…やめて近寄らないでまた吐くから」
「もう私、まなみのこと友達なんて思ってないよ?」
「あや..」
「だから健太と気にせず付き合っても大丈夫だよ」
「健太、別れよ?」
まなみが泣き出して私になにか訴えようとした。
「まなみ?」
「…ん?」
「ありがとう、信じてたよ、大好きだったよ、まなみはちゃんと幸せにしてもらってね」
「健太」
「..はい」
「まなみのこと幸せにしてやれよ、泣かせたらぶっころす、今までたくさんの幸せをありがとう!」
小説に書いてありそうな臭いセリフを吐いて私は俯いた。
「..行って」
「なに..?」
「もう私の目の前から消えて?」
2人は私の前から立ち去って行った。
恋する嬉しさと別れる切なさと裏切られる辛さを知った17歳の秋でした。