第1話 給料日は証券会社へ行こう
俺の生まれは、大ハイデルン王国である。大ハイデルン王国は列強国とされており、その二番手に当たるという。
そんな大国を離れて3年間、お世話になっているこの国はリベラール合州国という。つい15年前に建国された歴史の浅い若い国だ(俺は今21歳であるから、6歳の頃にこの国は建国されたこととになる)。
今後どのようになっていくのか、色々とこの国には期待が膨らむところではあるが、決して大国と言えない。であるから、列強国と戦争にでもなったら直ぐに滅ぼされてしまいかねないだ。このあたりがとても心配である。
まあ、俺の人生の方が先に終わってしまうかもしれないが。
「クロイン! リアカーに新聞を積んでおいたぞ」
と、社長が叫んだ。
ああ、今日も新聞配達の業務が始まるのである。
「わざわざ、社長自ら積んでくださったのですか。ありがとうございます」
俺はそう言ってリアカーを引き、会社を出発した。
この仕事にやりがいなど感じられない。しかし、今日は士気だけは高かった。と言うのも今日は給料日なのである。
「さて、今日はとっとと仕事を済ませて給料を貰おう」
こういう日は、普段よりも速く仕事を終わらせることができる。
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さて、今日の仕事を終わらせた俺は、社長から給料をもらい証券会社へと急いだ。実は俺は給料日になると毎回、給料の半分をつぎ込んで、とある会社の株式を買っているのである。
因みに、株式を買っているわけではあるが、投機目的だけで買っているわけでではない。一応は配当金目当てでもある。
「前場開始まで時間が無いな、急がないと」
時刻は午前8時50分。社長が給料日当日になって、給料計算をしたもんだからもうこんな時間になっているのだ。本来、配達業務の終了時間は大体、どんなに遅くとも午前7時くらいまでには終わる。
尚、証券会社の担当社員に株式購入の注文を依頼すれば、その日のうちに何とか取得してくれるのだ。ただ、例えば前場が開始すると担当社員たちは証券取引所に行ってしまうのである。まあ、この場合でも証券取引所まで行って、担当社員を見つけてその場で依頼すればいいのだが、証券取引所は人が多いものだから見つけるのにとても面倒なのである。
そして、全速力で走って何とか証券会社に何とか辿り着いた。
時刻は午前8時55分だ。
「マリオットさんを呼んでくれ! もしかして、もう証券取引所に行ってしまったか? 」
俺は、証券会社の受付にそう叫んだ。
「マリオットさんですね? 承知しました。まだ会社に居ると思うので、至急呼んでまいります」
と、受付の1人がそう言って、走ってマリオットさんを呼びに行った。
少しして、その受付の者がマリオットさんを連れて戻ってきた。
「おや、クロインさんではないですか……。ああ、今日は給料日でしたか。で、いつもの会社の株式で良いのですよね? 」
「はい。これが買い付け資金です。まあ、いつも通り成行注文で良いのでお願いします」
「承知ました。ではいつも通り前場が終ったら一旦、会社に戻ってきますので、その時には取得できたかどうか報告しますね」
と、マリオットさんは言ってから証券会社を後にした。
そして、俺も給料日は前場終了時刻まで近くの喫茶店で時間を潰すことにしているので、喫茶店へと向かった。
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そして、前場終了時刻になったので、俺は証券会社へと戻った。
「クロインさん、今回は45株を取得できました」
「おお、そうですか。ありがとうございます。ではまた来月に給料日なったら伺いますのでよろしくお願いしますね。それでは失礼します」
「ええ、待ってます」