「ふふっ、京ちゃん正解!」
そう言って顔を上げた少女のような見た目の女性の名前は神田真希(かんだ まき)。
現代では珍しい程黒く染められた髪の長さは腰に届きそうなくらいだ。
彼女と俺の関係は“同僚”と言ったところだろうか。
「それでね、京ちゃん。被害者は……」
極秘の仕事内容について玄関で扉を開けたまま話そうとする真希を俺はぐいっと引き寄せ、部屋に入るように促した。
「はい、これ。今回の資料の追加だよ」
そう言って机の上にドンと置いたのは“探偵REPLAY 様”と記載されたダンボール箱。
乱暴にガムテープを剥がし、中身を丁寧に出した。
「真希、今日空いてっか?」
「もちろん。まぁ、空いてなくても空けるけどね」
そう言って真希は不敵に笑った。
俺の名前は、高城京介(たかしろ きょうすけ)。
探偵REPLAYの創設者であり、社長だ。
社員は神田真希ただ一人。
仕事内容は“完全犯罪を再現(REPLAY)”すること。
表向きは“探偵”、本当は__“警察組織の一部”だ。
もちろん、普通の探偵業も営んでいる。
そして、今回の仕事は警察組織の一部としての仕事。
密室殺人事件の再現(REPLAY)だ。