第一作目 『素直になれない』
第一話 日和目線
【チリンチリンッ四月七日っ今日は始業式...チリンチリンッきょ...ばた】
「うっさいバカ目覚まし時計」
私は先程まで元気に鳴っていた時計を睨み付けると冷や汗をかいた
「ヤ、ヤバッ...遅刻じゃん」
私は急いで二段ベットから降り一段目を覗いた
「ああ〜!?いないし...起こしてくれたらいいのにっ」
そう言い放つと音を発てながらドアを開け勢いよく扉を閉めた...はずだった
何故かドアが何かに押さえられて閉まらないのだ
何が原因かとドアの方を振り返った
「...おはよ、日和...朝からうっさい...あと遅刻するから早くして」
「わ、わかってる!うっさいな...」
振り向くとそこにはいついたのか双子の響也がいた
顔は整っており一応クラスでは人気を集めている
その中には私もいる
なんでかって?今はないしょ...時間があったらね?
そう響也は言い残すとバタバタと階段を降りていった
私も続いて降りていきリビングに着くとすぐさま机に置いてあった湯気を立てている食パンを手に取った
「ほわっ...ほうは、はひひふはいっへふ!(うわっ...今日は、はちみつ入ってる!)」
「食べながらしゃべんな...」
いつ着替えたのか制服姿の響也が立っていた
ちなみに紺の上着から白いシャツが見えていてズボンは紺と黒でチェックになっている
普通の男子はこれで終わるのだが響也は違う、大げさに言うとモテる理由はこれかもしれない
響也は胸元にお気に入りのファンシーな猫のカンバッチを着けているのだ
何故かは知らないが幼稚園の頃から着けている
物持ちはいい方なのでまだキラッと光に反射している
一方の私は...まぁ予想はできるだろう
そんなことを頭の中で思いながら口にパンを詰め込むと階段を二段飛ばしで登り自分の部屋に入りクローゼットを開けた
「さーて今日はどれにしよっかな♪」
うちの学校は制服の種類が多いので有名だ
リボンでも種類が五十以上あるので組み合わせると百は越えるであろう数がある
そして唯一学校でその制服の全種類を持っているのは私、本田日和だ
学校での私は制服である意味有名だ
そして今日の響也とお揃いの柄、色の制服を選びそれに合ったリボンを着けると鏡の前に座り髪を整え二つに結んだ
「よしっ今日は完璧っ!」
私のような不器用さでも簡単にできた
制服を響也に合わせた効果だろうか
「日和ーそろそろ行くけど?」
噂をすればなんとやら...響也に扉ごしにせかされた
「あと鞄だけー」
そう言うと乱暴に椅子に置かれていた鞄を肩からさげ扉を開けた
「じゃ行こう」
響也の素っ気ない声と共に私は家からの一歩を踏み出したのだった
第一話 END