「私もなんですよ」
影のある笑顔を作る女性。
外見は柊の葉のように髪は落ち着いた緑で目はオッドアイだ。
恐らく推測であるが身長は百六十センチぐらいであろう。
「お花、これがいいと思いますよ。」
そういうと彼女は白いアネモネの花束を私に丁寧に差し出し
「花言葉は『希望』……館でお会い出来るのを楽しみにしてますね」
そう言って歩き出す私を繕った笑顔でまた見送った。
「__そう。私はアイツ≠ノ会うんだ」
白いアネモネを持って私はまた北へ北へ歩いた。
館は案外近く、五分もあれば十分な距離だった。
古びた赤煉瓦の屋敷。この地域では最大であろうこの建造物。
年季は相当入ってると思われる。錆びているこの館への門は
鍵さえも壊れているのかいつでも空いていた。
館の玄関へはそこだけ白い砂利道が敷かれており
砂利道以外は全て芝生だった。
芝生を触るとスプリンクラーの後なのか若干湿っている。
「ご在住……ですか」
約十メートル程の砂利道を歩きとうとうドアの目の前の来た。
生唾が喉を通り過ぎて行く。
二十度超えてるというのに別の意味で汗が吹き出る。
ゆっくりとドアを開けると真っ暗で奥が何も見えなかった。
見えるのは自分の影。何も見えない中手探りで壁を見つけ
壁に沿うような形で前へ進む。
「あ……ああ……あ……あ。聞こえてるかな? 」
突然真っ暗な中反響するその垢抜けたその声は
十代の少女ということは間違いなさそうだ。
「新しい子が来たね。そこの青いワンピースで
綺麗な黒いショートヘアーのコリー・アレントちゃーん」
……何かが可笑しい。先程まで遠くから反響した声だったのに今度は
頭上≠ゥら声が聞こえる。
「あれ。気づいちゃった? 私、この館主のメアリー・イラエムです」
その次に何か鈍い音が聞こえた。人が落ちたとかではなく、
重力を思いっきり床にかけてる。そんな感じの音だった。
「コリーちゃんは実に賢いよー私をよく見てるね
そう、私は重力をある程度操ることができるんだよね
後目も良いし聴力も侮らない方がいいよー」
暗闇で顔は見えないが向こうは今この部屋の真ん中にいる。
「さあ、能力の蕾を持つティーンエイジャーの皆様。
__その蕾私が開花して差し上げましょう」