「柿谷くん柿谷くん」
珍しくアルマちゃんが焦った様に僕の机までとててて、とやってきた。普段殆んど感情を見せない彼女だから、何があったのかと僕も少し焦る。
すう、息を吸うとアルマは言った。
「うんこ味のカレーか、カレー味のうんこか!」
言ったのだ。アルマちゃんの瞳は真剣だ。対する僕は空気の抜けた風船だ。あまりのくだらなさにため息が出た。
あまり興味を示さなかった僕に、アルマちゃんはむ、とむくれる。
「これは究極の選択です、世界の真理と現実、善と悪の境目、古代ギリシャから考えられてきた万物の根源をも凌駕しますよ」
うんこにそんな可能性感じたくない、と僕が口を開く前に、アルマちゃんは話を続けた。ここまでよく喋る彼女は初めて見たし、初めての話題がなんて稚拙なのだろうと落胆もした。
「……つまり、うんこ味のうんこですね」
それは何か、大切な何かを失う何かが混濁しているのではないだろうか。
やっぱり、アルマちゃんは変だ。
(あと、稚拙だ……。)
>すう、息を吸うとアルマは言った。
アルマ"ちゃん"が抜 け て お る Σ