02.『壊れたセカイ。』
「ふぅ、やっぱ今日も退屈だなー…。」
僕、桃園咲希(モモゾノサキ)は、授業中にも関わらず、シャーペンをぐるぐると回し溜め息を吐いていた。担任は何回も僕を注意するが、そんなのは僕の耳には届かない。
毎日が退屈すぎて、この世界が馬鹿らしくなってきた…、なんて真面目に考えるのも馬鹿らしいかもしれない。 …なんて事を考えていると、六時間目の終わりを告げるチャイムが鳴った。
担任に何回注意されたかわからないくらい注意された今日の授業は、なにも突飛な出来事なんて無く、ただ何時ものように終わりを告げていった。
+ + +
次の日の朝。
僕は、お母さんに急かされながら、朝ご飯であるトーストをもぐもぐと頬張っていた。
何気なくテレビに目を向けると、朝のニュースではお馴染みのニュースキャスターが、こんなことを言っていた。
『今日は、世界が壊れるでしょう。』
その言葉に、僕は唖然とした。
……本当に世界が壊れたらどうしよう? でもそんなの出任せに決まってる。二回目のエイプリルフールか?
ニュースキャスターの若松さんは笑顔だった。その笑顔が、僕の心を不安でいっぱいにさせる。若松さんが、とても、とても嬉しそうな笑顔で笑っていたから。
「なにしてんの咲希! 外で玲奈ちゃんが待ってるわよ!」
お母さんの一言ではっとした。
何を焦っていたんだろう。本当に世界が壊れる訳なんてないのに。
僕は残りのトーストを一気に頬張り、スクールバッグを持った。そして「行ってきます!」とお母さんに叫び、家を出た。