Episode.2
「行ってきまーす」
「あらぁ?もう行くのぉ?」
お母さんが甘ったるい声て叫ぶ。
そのまま近づいてくると、私の頬にキスをする。
「はい、行ってきますのチュウ♡」
「あのさぁ、お母さん?私はもう6年生ですのよ?恥ずかしいですわ……」
私はそう文句を言い放ち、無言でドアを開けた。
__.・°**°・.__
「ごきげんよう」
そう挨拶すると、クラス全員が一瞬クルリと振り返る。
だがすぐに談笑に戻ってしまった。
「望……おはよ」
「あら、結理さん。ごきげんよう」
机に荷物を下ろすと、隣の机で項垂れていた親友、麻生結理さんがゆっくりとこちらを振り向いて言った。
「ご……ごきげん麗しゅう?」
「麗しくない」
結理さんはキッパリと断言する。
「何かあったんですの?」
「望のせいだよ!?」
「あら……?私、結理さんを不機嫌にするようなこと……しましたっけ?」
私は必死で心当たりとなる記憶を辿るが、さっぱり分からなかった。
「あれだよ、あーれ」
「ふぁふぇ?」
最終行目・望台詞
「ふぁふぇ?」=「あれ?」
さっぱり理由が分からず、その勢いで
噛んだんですね。「ふぁふぇ?」とは
そういう意味です。