没になった物
元ネタ:ルー=ガルー
人類が動物を狩るのをやめ、生態系から抜け出した素晴らしい時代に探索者達は生きている。
人間社会に生きる生物は殆んどが人間で、動物を買うのには資格や市からの許可が必要になったこの時代では、猫は愚か鳥でさえ目にとまることはない。全てが全て社会から抹消されたのだ。__否、実際はそうではない。全てがこの世界に保護されている。だというのに、彼らが囚われの身にしか見えないのは、貴方の主観がかわっているのか、それとも彼らに共感しているのか、どちらかは定かでない。
しかし、こんな世界でも光の当たらない場所はあるのだ。学生である貴方でもわかるような大きな歪み、人間社会の生物達が自由に活動できる最後の楽園が。
エリアC__貴方はここに来て黒い毛皮で覆われた赤色の猫に餌をやるのが日課になっていた。だからこそ今日も餌をやろうと袋を持ってきたのだ。いつものようにエリアCの中心部近くの路地裏に、いつもと同じ午後3時に入っていく。いつもと違う点をあげるとしたら、黒猫を含む大勢の猫、それに加えて毛皮も、その暗闇で光る特徴的な目も見当たらない人間がいたことくらいだろう。