……7年前 冬
両親の喧嘩する声
物が落ちる音
私は怯えて耳を塞いで見ることも止めることも出来なかった。
「もういい!」
怒声とドアがガチャりと開く音
部屋から飛び出して、叫ぶ。
「待ってよ!行かんでよ!母親なくしたら、うちどうやって生きてけばいいん!」
両親の驚いた顔が私に向けられる。周りが騒がしいのに気づいたのか、当時3歳の妹が泣き出す。
私の記憶はそこまでだ。気付けば朝で、こたつで寝ていた。そういえば、晩飯は?最後に「お腹空いた」と言ったのは覚えている。
ハッとして、家の中の部屋全部探してみれば、母の物全てと、ミシンなどの裁縫道具が消えていた。
まだ幼かった私は、この状況を見てただ泣くしかなかった。父を起こすべく、リビングへ戻る際に、キッチンを通れば、3人分のご飯と思われる料理がラップに包まれ置かれてあった。
「ねえ、お父さん。お母さんは?どこ行っちゃったの?」
「んあ?」
「部屋全部見てきたけど、何もなかったよ。全部なくなってた。」
「なら、出て行ったんだろうな。」
「どうして…?」
「さあな。」
幼い私に母との思い出などほとんどなく、ただ、母親に付きまとっていた私は、一言もなくして家を出た母に怒りを覚え始めたのは、その5年後のことだった。
すっごい冷静な父親に返す私も結構冷静
小学校上がる前の話やったら、感情無くしてもよろしいか。