[表記がありませんが、↑の話は 「Act.1 面会」というタイトルでした]
部屋の中は簡素で、書類が積まれた机と観葉植物しかなかった。唯一の窓はシャッターが下ろされ、照明は消されている。部屋に差し込むのは、シャッターの隙間から漏れ出す微量の光だけだ。
漂うホコリが細い光の筋を反射して銀砂のようにキラキラと輝いている。
その僅かな輝きさえ嫌うように、『あいつ』は部屋の隅の真っ暗闇で毛布を被って震えていた。
「久しぶりやなぁ」
声をかけるが反応が無い。無視か?否、気づいていないのだろう。
毛布を抱えるように抱きしめて、もう一度「久しぶり」と声をかけると、毛布の塊が縮こまった。そして怯えるように震える。
ポルトガルは新たなアクションはせず、ただただ毛布を抱きしめたまま待った。
数秒後、もぞもぞと毛布が動き、中からポルトガルと瓜二つの男が現れた。
「ポ……ルトガル?」