「くぁぁ……。」
あたし、涼風いおりは授業中、大きな大きなあくびをした。只今自習中。あくびするんなら、なんで寝ーへんのかって?
それはな?
寝るのが面倒やねん。あたし極度の面倒くさがりやねん。分かったってな? それがあたしやから。
学校から帰ろうと歩いていた廊下で。あたしは大勢の女の子に囲まれ「一緒に帰らん!?」「うちらええ甘味処しってんねん!」と誘われた。でも今日めっちゃ疲れてんねん。隠したらいややし、断らんとな。
「ごめんな? あたし今日なんや知らんけどめっちゃ疲れてしもて……。
なんや君らに悪いなぁ……じゃあ今度一緒に行かしてもらってええ?」
そう言えば、顔を赤くしてこくこくこくと頷く女の子達。どないしたんやろ、熱でもあるんかな?
「ごめんな?」
そういって下駄箱で靴を取って女の子達と別れた。そして帰宅路を足取り重く歩いていく。帰宅部道まっしぐらなあたし。それは親に言われてるからで。
『あなたは次の涼風組当主になるんやから! 学校いかせてあげてるだけでも有難いと思い!』
と言う訳なんです。実はあたしの家、表向きは大人気甘味処やけど、裏では世界的に有名な極道やねん。
学校ではひた隠してるけどな。ええねん、しゃあないし、あたしもそれはそれで嫌ではない。
「家に帰ったら、善哉か最中でも食べよ。」
あたしがそういって前を見た時だった。目の前に小さな真っ白の兎が!
え、何これ、持ってかえっていい?
ってそんな場合では無くて。
じっと見つめていたらこちらに気ぃついたんか知らんけど駆け出しよった。
ふざけんな! あれはあたしがショーケースに入れて一生モニュメントとして飾るやつやねん!
と全力疾走で追い掛けた。そして、Get! と捕まえた瞬間あたしの意識はシャットアウト。
ふざけるな、と言いたくなった。(オイ)
目を覚ませばそこはあたしには到底似合いそうもないカラフルかつプリティな部屋。っていうか多分やけどこんな部屋が似合う人なんて誰も居らんやろ。
そう思っていると、目の前に小さな兎が。そう、あたしが追いかけていたやつだった。