「ねえ、レン」
「ん、どうした?」
「あ、えっと…何でもないっ!」
「は?…」
ここはVOCALOIDの暮らす家。通称ボカロ家。
今は家に俺、レンとリンの二人っきり。純真無垢、天真爛漫な彼女に俺は振り回されっぱなし…なんだが、最近リンの様子がおかしい。
「なぁ、リン。」
「っ!な、何?あー、リン用事思い出しちゃった!ごめん、上行くね!」
様子がおかしくなったのは、1週間くらい前?目を合わせてくれなくなった。……前までは
『レーーンッ!』
って抱きついてきたけど、今では何か焦った感じ。こうなるとやっぱり俺も少し焦ってしまう訳で…
ガシっ
「……へ?」
「なっ…」
気づけばソファを立ち上がったリンの腕を握っていた。
「あのさ、その態度…結構クルんだけど」
「え?く、くる?その、リンもう爆発するっ!バイバイ!」
タッッタッタと階段を駆ける音を聞いて俺も立ち上がる。…当然、リンと俺の部屋に行くため。
ガチャ
「なぁ、リン。」
俺の声に大きく反応したリン。
(前までは、もっと笑いあってたのにな…)
嫌われたのかも、と不安になった俺は…やっぱり焦ってしまい、リンを後ろからギュッと抱きしめた。
「好きだ。」
暴れるリンの耳元で囁く。そのおかげか、急にリンは大人しくなった。
伝わってないかな?だったらもう一度…
もう一度伝えようと耳元に自分の口を持っていったとき、リンが振り返って……
「……へ?」
「……」
軽く、俺とリンの唇が触れてしまった。
「り、リン…悪りぃ。そんなつもりは…」
リンは俯いたまま。少し怖いかもしれない。
「リンも…」
「え?」
「リンも好きっ!」
今度はリンからギュッと抱きしめてきた。
「そ、それって…」