追加、ルーシィはレビィも信頼しています!
「皆の者、よく聞けー!」
ギルドの柱にこのギルドのマスター、マカロフが宙返りをしながら乗る。
…入っときもこんな感じだった気がする。
「ある一部の者に仕事が入った!その者は…」
今月は家賃がピンチなのよねー…しかも指名、ってことは報酬もそれなり。
お願い、あたし達のチームでありますように!
マスターは紙をめくり、片方の眉を吊り上げた。
「その者は…ナツ、ルーシィ、グレイ、エルザ、ハッピーじゃ!」
今、ルーシィって言ってた?
良かった、これで家賃が払える…けど、ナツ達がパーにしないか不安ね。
「おっしゃー!じっちゃん、その話詳しく聞かせろよ!」
「久しぶりの仕事か…腕がなるな」
「おいおい、勘弁してくれよ…」
「あいさー!」
名前を呼ばれた皆は元気なんだけど、周りはひそひそと喋っている。
こんなの分かりきってるし、いつも通りだけど。
「ねぇ、ルーシィって本当に強いの?Lの証も付いてるし、実力はあるんだろうけど…」
「あぁ、どうにも馴染めないよなぁ。感じ悪いし。」
「何でフェアリーテイルに入ったんだろ?」
「ねー、それ思うー。絆が一番のこのギルドには必要ないよねー」
内容は大体あたしの悪口。
昔から言われ続けてるけど、なかなか慣れない。
むしろ、だんだんナーバスになってきて、どんどんあたしは必要ない、っていう思いが強くなる。
少し離れたところにいるナツ達を見ると、何か我慢してるような表情。
仲間のために動くナツ達だし、怒ってるんでしょ。
とうとう3人が動く、そう思ったあたしは素早くみんなの元へ動いた。
「…大丈夫、理解してくれる人がいるから、大丈夫…」
…人間なんて、少しの人しか信じられない。
感情は、操れる者も居れば抑えられない人もいる。
ナツが、典型的な抑えられない人。
だけどナツは何か違う、あたしは分かってるから信頼できる。
…ちゃんと、あたしを見てくれる。
「でもさ、あのハートフィリア家じゃん?お金使ったりしたんじゃない?」
「あ、あるかもな。あいつ、何考えてるかわかんねぇし。」
フェアリーテイルは暖かい、そう思った。
でもそれも、ほんの一部の人。他はみんな今までの奴らと同じ。
「…分かった。」
「ルーシィ…無理だけは、しないようにな」
「…私も、同じ意見だ」
…ほら、ここは暖かいのに、周りは冷めてる。
冷えきったこの室内は居心地が良いのか悪いのか分からない。
冷たい空気はあたしの冷たい心に合ってる。
…だけど、暖かな温もりを知ってしまったから、冷たさに嫌気がさす。
「…あたし、帰って準備する。」
「わかった、そんじゃ、明日の10時、いつもの場所集合な!行くぞハッピー!」
「俺も帰るわ」
「あぁ、私もだ。荷物を纏めなくては。」
そう言って散り散りになるあたし達を周りはどんな視線で見るんだろう。
あたしのことは蔑んで、他のみんなは温かい眼差しで見つめるの。
…分かってる、だから人間なんて好きじゃない。気持ち悪い。
そんな事を考えながらギルドを出る。
隣に居るのは親友のポラリスとプルー。
ナツ達にも見せられない“感情”をさらけ出せる相手。
「ねぇ、2人共。あたしって、やっぱり怖いの…?」
自分が出した声で溢れそうになる涙をグッと堪える。
人の目がつく所で泣くのは、あたしの心を公開してるみたいで嫌だ。
「…だって、嫌いだって正面から言えないのに、人の事を弱者扱いして…」
“サイッテー”
そう告げたあたしにポラリスは少し辛そうな顔をする。
顔には表れないけど、プルーも悲しげに「プーイ」と声を漏らす。
「…ごめん、変な話だね。さ、早く帰るわよ!」
気づけば家まで100メートルくらい。
「ルーシィちゃん!暗いから気をつけるんだよー!」
「大丈夫ー!あたしだって魔導士だもん!」
ここにも温かい人がいた。
醜い心を持つ人の中で、ああいう心から心配する人は珍しい。
…人間はみんな、結局自分が一番だからー。
「そうかいー?仕事頑張ってねー」
「はーい!」
「
…みんな、元気だなぁ。見てて元気になる。
…信じてたのかな、この時は。
ーーーーーーーあたしはフェアリーテイルに必要だ、と。
>>232が1話だった。