暇だなー。
誰が呟いたのかも分からないその言葉は、静かなこの空間へと吸い込まれ、消えていった。
暇。とにかく暇だった。
金が無いからどこにも行けない。でも家に居てもやることは無い。
それは俺だけでなく弟達も同じらしく、皆居間でごろごろと寝転がって過ごしていた。
誰も何も声を発さないから居間は驚くほどに静かだった。
あのいつも煩い十四松でさえも、口を閉じてただただ天井の木目を見つめていた。
「……ッだぁ暇だ! お前ら何かねーの!?」
この空間に耐えられず、勢い良く起き上がってそう叫ぶと、皆ビクッと肩を揺らして俺を見た。
「…何かって何さ」
そう不審気に俺を見るのは末弟のトド松。
そいつをちらりと一瞥してから俺は続ける。
「だァーから、暇なんだよ。お前らも暇だろ? だから何かしようぜってこと。分かる?」
「いや何かしようぜって……、そんなこと言ったって」
「じゃあやきうは!?」
続けようとしたトド松の声を被せるようにして、十四松が起き上がる。
「嫌だよ、十四松と野球したら次の日筋肉痛が酷いし」
思い出すようにしてうへぇ…と顔をしかめるチョロ松に、今度はカラ松が立ち上がり口を開く。
「なら、カラ松girlを探しにでも…」
「殺すぞクソ松」
「ヒィッ」
が、あっけなく一松の手によって却下された。
誰もカラ松をフォローする者はいない。まぁ当然っちゃ当然。
じゃあどーすんだよ!と頭を抱える俺の横で、あ、とトド松が声を上げた。
「じゃー、ジャンケンしよーよ。負けた人は罰ゲーム」
トド松のその案に、いいなそれ…と皆の声が揃う。
やるなトッティ!と叫ぶ十四松を見てふふんとドヤ顔をかますトド松がなんかウザかったので取り敢えず一発蹴りを入れておいた。
「…じゃ、負けた奴はパシリで」
「でも金はどうするんだ?」
「何とかなるよ!」
「万引きとかは絶対やめろよ」
「する訳ないじゃんシコ松兄さん」
「あ”!? トッティてめー…」
途端にがやがやと騒がしくなったことに少し嬉しくなり口元に弧を描きつつ、拳を突き出し叫んだ。
「よーし、お前らいくぞー!」
>>9の続き書こうと思ったけどダメだ。ネタ無い。力尽きた。