フェアリーテイルナツルーグレルー恋愛9

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12:みさ◆gQ:2016/06/12(日) 12:44 ID:IRo



『よろしくね』

『ウル…さん』

『グレイを』

何のことを言っているのだろう。

『待って!!』

笑いながら、消えていく。

「は!!」

ルーシィは目を覚ました。

まだ、世界は闇におおわれている。

額を触ると、冷や汗をかいていることが分かった。

ここんところ同じ夢をずっと見ている。

上も下も右も左もわからない。

そんな場所にいつも、ウルさんが来て、青白い一筋の光を入れてくれる。

でも、最後は帰ってしまう。

見たことも声をきいたこともないのに、その時ははっきり見える。

でも、目を覚ますと、顔にもやがかかり、声にモザイクが付く。

あの日から、同じ夢を見ていた。

あの日、あんなことが起こったのに、ウルさんは、同じことを言ってくる。

もう、無理なのに。

こぶしを強く握っているのに気付いて、手を緩める。

そして、まっすぐ月を見据えて、決心した。

もう一度、布団に入る。

違う展開になるように…。




『よろしくね』

『…』

『グレイを』

『無理よ』

今まで何回見てきたかわからない夢が、ついに違う方向へ向かっていく。

『ウルさん…無理よ』

『…できるわ』

『死んだの!!!』

初めて、笑みが消えた。

『あなたの夢を見るようになったあの日…グレイは死んだ』

『…どうしたいの?』

こんなに会話が続いたのは、初めてだった。

『ウルさん、私…』

『グレイは、よかったと思ってるわ。あなたにこんなに思ってもらえて』

『行ってもいいですか?』

『…いいわよ』

世界が変わった。

一つ扉が見えた。

ゆっくりと歩きだす。

『名前だけ、いい?』

『ルーシィ。ルーシィ・ハートフィリアです』

にっこり微笑む。

『いつも、グレイに墓から聞いてたわ。ありがとう』

ドアノブに手をひっかけ、開けた。

光が、ルーシィを包んだ。







翌朝、ルーシィは死んでいた。

鍵も、すべて消えていた。まだ見つかっていない。

そして、ルーシィの頬にはきらりと光る氷のような涙があったという。


 END


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