学校に行って勉強して、休み時間には友達と仲良く話して。
毎日代わり映えのしない日常だけど、それが私は好きだった。
「あなたには、審神者になって欲しいのです。」
「どうか、この世界の歴史を守って下さい...!」
だからかな。そう言われた時に、素直に頷けたのは。
政府の人の先導で、私は本丸と呼ばれる場所に向かう。
そこは和風のお屋敷で。本でも読んだことのないような花や、木がたくさんあって...初めて来たのに、何故だか落ち着く、そんな空間だった。
「それでは、あとはナビゲーターにお任せしますので。私達は引き上げます。よろしくお願いします...」
ぺこりと丁寧に頭を下げ、政府の方が去ると、私は...怖くなった。歴史を守るなんて、こんな自分に出来るのか、だとか。人間すら築くのに時間がかかるのに、大丈夫なのかとか。さっきまでは風景がよく見えて、大分落ち着いてられたのに。
「主さま、私本丸のナビゲーターを任されているこんのすけと申します。」
...ふと、どこからか声をかけられて、私は辺りを見回すと、足元にちょこんとした動物が一匹。しかも人間の言葉を喋るものだから、私の恐怖心や不安は倍増した。
本当に私は、この本丸という場所で歴史を守れるのかな...