side…kei
ドンッ
「わっ!すいません!!」
「痛ぁ…ッ、んまぁ、大丈夫だよ…」
やっぱり俺はついてない。
ちょっと4階に用があって戻ろうとしたら、この様だ。
上にいこうとしてるから、多分1年。
可愛い。そして並ぶと、俺よりも少し小さい。
よくわからないけど、ちょっと気になるわ、この子。
「待って」
俺が呼び止めると、彼は嫌そうな顔をしながらも、「なんすか?」と返してきた。
「名前…教えて?」
「1年の…有岡大貴です…」
ふぅん。有岡くんね。
それから俺はテキトーに自己紹介して教室へ戻ったから、その後彼がどうしたかは、まったく知らない。
「ねぇ〜雄也!1年の有岡大貴くんって知ってる?可愛い顔したちっちゃい子」
後ろの席の雄也にとりあえず、あまり期待はせず、そう聞いてみた。
すると、意外な答えがきた。
「あぁ〜、有岡くんね。知ってるよ」
「え!なんでしってんの!詳しく教えて!」
ついがっついてしまった。まさか雄也がこんな手柄を果たすなんて。
「う〜ん、確か2組。てかさ、有岡くん純粋なんだから、変に手出すなよ」
「もー、分かってるよ!!」
そう言いながら雄也の肩を叩くと、ちょっと嫌そうな顔。照れてんのかね、かわいい。笑
「あれっそういえば先生は?」
ガラガラッ
「遅れました、すいません〜、じゃ、HRはじめまーす」
噂をすれば現れた先生。それからHRを終えると、俺はすぐさま1年2組にいった。
「有岡くーん!僕だよ!僕!」
恥じらいを捨て、そう叫ぶと、小さな頭がひとつ、こちらに向かってきた。
「えっ…?」
予想通り、困惑してる。可愛いねぇ〜。
そして俺は特に目的はなく、クラスは友達から聞いたと伝えた。
しかし有岡くんは相変わらず冷たい。
「で、何の用すか?」
「なに?その目…もしかして、俺のこと好きになっちゃった?上目遣いなんてしちゃって〜」
敢えてのデレデレ。それでもしぶとい有岡くん。
「いや、それは身長的に仕方ないですよね…」
そのとき、ほんのちょっと、彼の瞳の色が変わった気がした。そして、僅かに動揺しているように見えた。
これは、いける気がする…ニヤッ
よし、決めた。階段でぶつかるなんて、運命だし。
待ってろよ、有岡大貴。