俺は国見と金田一の協力のおかげで、無事に烏野高校へ入学できた。
でも烏野に入学してから、どこの部にも所属しないと決めていたため、HRが終了するといつも速攻で帰宅。
友達は欲しいがどう接したら良いのか分からず、学校ではつねに一人。それに、自分にも非があるとはいえ、あの試合が原因で女子と接するのが少し怖い。
そんなある日、校内探検と名付けて歩き回っていたら、第二体育館からボールの音が聞こえてきた。
興味をそそられ中を覗けば、一人で練習をしているやつがいた。
(あいつ…俺より背が低いくせに…すげぇ飛ぶじゃねぇか…!!)
ジャンプ力には感動したが、プレー自体は荒削りで、下手くそなことが見ていて丸分かりだった。
(バネも体力もやる気もあるのに何て宝の持ち腐れだ!俺の感動返せ!!)
いやでも、腹立つけどそれは勝手に腹を立てているだけであってたぶんアイツは悪くな…いや、やっぱアイツが悪ぃな。
そんな感じで腹を立てていた自分のところに、ボールが転がってきた。
それを追いかけてきたさっきの飛ぶやつと、拾い上げた俺の目が合った。
これが、日向翔陽との初めての出会いだった。
「あぁぁ!!ごめん!!」
キレイなオレンジ色の髪の毛が、眩しかった。でも、それ以上に
アイツの汗が眩しかった。
(でも、高い運動能力、反射、自分の身体を操るセンス…きっと他にも持ってんだろ…それらを持っていながら)
「お前は中学の3年間、何やってたんだ!?」
そう言うと、アイツはものすごくショックを受けたような顔をした。
いや、ショックを受けたのだろう。
渡したボールが、アイツの手から落ちた。
俺はそのまま体育館を後にした。