「…赤い」
無意識に出た言葉だった。
血に濡れた自分の手を見て、何故こんなことに
なってしまったのかと今更ながらに思った。
立体機動装置は私の想いとは裏腹に、
自由自在に動き、私を導く。
風に当たる度に、ジャケットに刻まれた調査兵団のエンブレムが
私を「争い」という名の現実に引き戻すのだ。
「…1体、2体、3体…」
赤ら様に指を出して数えてみた。
人類の平凡を奪った憎いバケモノを。
すうっと息を吸い、笑ってみた。
「さてと……一仕事しますか。」
理性なんてぶっとべばいいのにと心底思った。
けど、それはこの国を背負う上で許されないことだ。
だからこそ、戦う時は、楽しむことに決めたのだ。
この仕事を続けるためにも。
信じられない程のスピードで、屋根の上を跳んでいく。
私は、この感覚に慣れた上で、この高揚感がたまらなく好きだった。
「いきますか。」
そう呟き、巨人の後頭部を斬りつけ、肉を剥いでいく。
15m級のヤツでも、私にとっては人と同じだった。
直ぐに、殺めてしまえる。
「…」
剣を鞘に納め、消えてしまった巨人の跡を見つめる。
やりごたえが無くなってきたなぁなんて思いながら。
ふぅっと溜息を吐くと、もうやったのか、という声が聞こえた。
後ろを振り向くと、リヴァイが私を見て苦笑にも似た笑いを浮かべている。
「あれくらいなら、ね…」
リヴァイの鋭い目を真っ直ぐ見れずに、
逸らしたままに応えた。
すると、リヴァイは、
「リアは変わんねーな、昔から」と笑った。
ほら、エレンの援護だ。とリヴァイは言うと、
私の手を引いた。
( エレン・イェーガー、か。 )
先生の息子は、とんでもなく勇敢で、誇りのある兵士だよ。
そう、先生に言ってあげたかったな。
なーんてね。
…どーした⁇私。