“新年は砕蜂と迎えたい”と言う夜一の要望から、4時頃彼女はいきなり二番隊に現れた。
勿論砕蜂は嬉しかったのだが、彼女の手元には数本の酒の瓶が。
酒に弱い砕蜂は慌てて首を横に振った。
すると夜一は残念そうに夕方から酒を呑み始めた。
砕蜂は必死に阻止しようとしたが時既に遅し。
『そいふぉーん』
『な、なりません夜一様っ!今は職務中で…っ』
『良いではないかー。ん…相変わらずお主の肌は白いのー』
『ちょっ、ほんとにダメです…!!』
その時副官は半泣きになりながら書類処理をしていたと言う。
砕蜂の前に立ちはだかる書類と隣にいる酔い潰れた恋人。
かなりの体力を消耗することになるが、砕蜂は一生懸命仕事を進めていった。
暫くすると夜一の様子に異変が起きた。
こくりこくりと首を動かし始めたのだった。
その数分後にはもう彼女は夢の世界へと行ってしまうことになった。
「何もそこまで…」
はぁ、と小さな溜め息をつく。
頼むからもうあんな酒の呑み方は止めて欲しい。
酒にだってあまり強くないのに。
何だか申し訳ないような気がしてまた溜め息をついた。
新年会もどうでも良かった。
参加しないとまでは行かないがそれほど楽しみにしていた訳でもない。
人と騒ぐのを嫌う彼女は寧ろ書類を片付けていく方が良いとまで感じていた。
本人は自覚していないだろうが、かなり真面目な性格である。
新年会等行かずに、夜一に会いたい。
彼女も夜一と同じ心情をしっかり抱いていた。
それに、今日は____
涼しい夜風がひゅう、と吹く。
窓の外は暗く、執務室も薄暗い。
ソファーに置いていた本に手を伸ばそうとすると。
「ん、んー…よく寝たぁ…」
一つ伸びをして大欠伸をしながら夜一はゆっくりと起きる。
「よっ、夜一様!!」
「んー…砕蜂、おはよう」
「っ…」
ポンポンと頭を軽く叩かれる。
若干涙目になりながら夜一はまた欠伸をした。
「済まんのー。調子に乗って呑み過ぎた」
「…もう止めて下さいね…」
勘弁してくれという感じで砕蜂はボソリと呟く。
夜一は微笑しながらまた彼女の小さな頭をぐりぐりと撫で回した。
「…もうすぐで新年じゃの」
「そうですね…」
時刻は午後11時55分。
二人は時計をじっと見つめた。