ん……眠い。
緊張するのかなぁ、なんて思っていたけれど……全然そんなことないや。
“最後の日だから”っていう考えは、どうも好きじゃない。
「こんな朝も、もう最後……か」
朝、この部屋で起きて。
ご飯を食べて。
ランドセルを背負う。
そんな“当たり前”は、明日から当たり前じゃあ無くなるんだ。
それを思うと、なんとも言えない気持ちになる。
……自然体でいるのも、きっと…今日で最後。
「おはよう」
部屋を出たところで顔を合わせた妹に挨拶。
「おはよ。あっ…お姉ちゃん、みつる、今日は友達と学校行くから」
「そっか。……最後だもんね」
最後だから。
この理由は、好きじゃないけど……美弦にとっては立派な理由だ。