ねえ、覚めない夢のように〔 兎碧のつぶやきパート19 〕

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510:兎碧◆cul9sZ0zs 〔 明日は、晴れますか? 〕:2019/09/24(火) 01:47

>>508

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退屈すぎる授業を居眠りで終わらせ、
給食を食べ、五時限目の体育の授業、サッカーへと時刻は進んでいく。
「5時間目が体育だと給食あんま食べたらダメになるじゃん?」
「わかる、走れなくなるよね」
「でも、6時間目とか部活とかでお腹すいて困るよね」
「分かる!! 小学生の時はなんにも気にしなかったのにいつの間にか走るの辛くなったよね」

五時限目が体育だと毎回誰かが同じようなことを言うのは、どこの学校でも統一なんだろうか?
うちの学校はいつもそう。よく懲りずに同じ話できるよねっていつも思う。
とりあえず筋肉が足りないんだと思うんだよね、まあスマホばっかやってるから運動なんてしないんだろうけど。
太ももに以上についた筋肉を見下ろす。
半ズボンで走るから、太ももの一定の位置より上が、私の本来の肌の色。
日に焼けた肌の色がどれだけ黒いかがよく分かる。
たまにこの色の境目を見ながら湯船で泣く。なぜここまでも自分が運動に縛られなくてはいけないのかと思いながら。
虚しさ、とは違う、なにか難しい感情。
寂しいような、悲しいような、無力さを感じるような。
最近は笑うことも少なくなってきた。
もうかれこれ1年くらい笑っていないと、母がよく言う。

五時限目が終わったら、次は生物だ。
生物の先生は河童。どこがって、それはもう察してもらうしかない。流石生物の先生だ! とよくいじられる。美術も得意で生物の絵が無駄に上手くて、女子には人気がない。解剖の見本の絵なんて書いた日には散々言われている。グロテスクだの、よくあそこまで書こうと思っただの、生徒に見せること自体がおかしいだの。

あの先生は寝ていても特になにも言わないから生徒の3分の2以上が寝ている。そのため授業を早く進め、テスト範囲の勉強の時間を多くとる。それでもテストの点数の平均があまりにも低い人がいるから校長先生によく叱られるそうだ。自虐ネタでよく授業中に話す。同じ河童なのに、と。

河童先生の授業は寝るのが確定だから、私はお腹が空くとかあまり考えなくていいんだけど、夜まで練習があるからとりあえずおなかいっぱい食べる。

五時限目が始まるのは一時十五分、それまでは自由時間。
今は十二時五十五分、自由時間が始まってすぐだ。
昼休みは晴れている時はボールを高く、遠くに投げて、それをキャッチするために走る、を繰り返す。
5回連続でクリアできたらやめていい、というルール付き。でもズルは一切しない。やる意味が無いからだ。
それにアイツが少しでも飛距離がいつもより下がっていたら指摘する。疲れているなら上がれば? と。それでムキになって飛ばしすぎる、取れない、クリア出来ない、昼休みが終わって時間切れ。という負のループ。だからズルはしない。
でも今日はあいにくの雨。だから雨バージョン。体育館でとにかく走る。走りまくる。
これにはルールはないけど、アイツが少しでもスピードが落ちるのが早いと指摘してくるから、とにかく全速力で走る。無理をしないとレベルアップにはならないと分かっているから、頑張り続ける。

と言うわけで体育館に向かう。アイツもついてくる。
前は鬱陶しいと思っていたけれど、もう諦めた。こいつはこいつなりになにか考えがあるんだろうと思って。学年一勉強ができるんだから、あの女子集団とは違うだろうと思って。

アイツ……維月の考えている事はいつも分からない、表情がよめない。
クラスの子達はかっこいいだとかミステリアスだとか言ってるけど、私には不気味にしか見えない。というかほぼストーカーだと思っているから不可避だと思うけど、怖い。

でも怖いことも2年繰り返していたら慣れてしまうんだから人間って怖い。高校って怖い。

もうはんば諦めた維月と共にするトレーニングに、ため息をつきながら体育館へと足を向けた。


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