ミリオタの呟き2

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670:Invincible:2019/09/28(土) 22:04

ホランドが作業を終えて、眠りにつこうとした時、彼ら下っ端には滅多にお目にかかれない士官兵たちが大勢、慌ただしく塹壕内を走り回っていた。ホランドは、ひょっとしたら日本軍が攻めてこようとしているのではないかと思い、体を震わせながら、飛び起きた。そして、陣地の奥の方から血まみれで出てきた上等兵をつかまえると、その上等兵の両肩を掴んで、

「何があったのですか?」

と早口で尋ねた。上等兵は、ちょっと耳を貸してくれと、ジェスチャーすると、ホランドの耳に口を近づけ、震えた声で、

「第1海兵師団参謀のジョセフ・F・ハンキンス大佐が視察中に射殺された……」

ホランドは怯えた声で、

「なんだって!?」

と小さな声で叫んだ。兵卒にとって、尉官ですら、雲の上の存在なのだ。その尉官より上の佐官、しかもそのトップの大佐までもが戦死したのだ。掃いて捨てるほどいる兵卒である彼が、自分の命に一切保証はないという事を思い知らされるには十分過ぎた。ふいに、ホランドの体の震えが止まった。だが、それは彼の恐怖が緩和されたからではない。より強い恐怖に震えることすらできなくなったのだ。見かねた上等兵は、

「ブラー大佐の第1海兵連隊なんかは数え切れないほどの尉官がジャップにやられている。ジャップが一番元気だった時期だ。だが、今はもう違う。大佐は運が悪かっただけだ」

と言った。だが、上等兵の言葉はホランドから一切、恐怖心を除くことはなかった。むしろ、大佐ですら不運で死ぬのだと、後ろ向きな解釈をしてしまったのだ。また、少し前に、歩哨2人が瞬時に射殺されたのを見ているので、日本兵が弱っているとも思えなかった。

彼は、ぎこちない様子で元いた場所に戻ると、うつ伏せになって、必死に目を閉じた。だが、彼の脳は思い通りには動いてくれなかった。満足に眠れないまま、交代になってしまった。


ふたば◆r.:2019/09/28(土) 22:07 [返信]

緊迫が伝わってくる


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