どけ、の一言で済ませばいいものを、何が気に入らなかったのかそいつは私の脛に何ヶ月も洗われていないであろう汚い上履きの底を乱暴に押し付けてきた。あまりの痛さによろめいて壁に手をつくと、そいつはフン、と満足気に鼻息を荒くし、吊り上げられた口角の隙間から黄ばんだ歯を覗かせ、大股で去って行った。 脛よりも心が痛んだ。
しゃらくせぇッスね