俺は武器屋の店主をしている男だ。
ほら、今日も俺の店は繁盛しているぞ。
……いや、静かすぎないか?武器屋だもんな。道具屋なんかと比べちゃいけないよな。
「おじさん!これ下さい!」
と、物思いにふけっていると、
幼く可愛らしい声が聞こえてきた。珍しいな、子供の客か?
振り向くと、後ろ髪を一つに結んだ女の子が立っていた。
身体は小さいが、胸当てなど軽装で身を包んでいる。剣士か?
「あいよ。お嬢ちゃん、小さいのにカッコイイじゃねえか。
それで、どれが欲しいんだい?」
俺は、女の子が指差す品物を見た。
「……は?」
は?と言うのは、どこから突っ込んでいいか分からないと言う事だ。
女の子が指さしたのは、ドーンと身構えている大きな鎧騎士だった。
……いや、あれを買うのか?あんな物を子供に売っていいのか?
何故なら、あの鎧は、
ハリボテだからだ……!
武器屋の雰囲気を出すための鎧はありがちだ。しかしあれは表しか見えないハリボテの鎧。中身はスッカスカの空洞だ!
「あれ、この鎧結構軽いよ?」
「しかも着てるし!」
ガチャガチャと言うかカツカツと軽い音しかしない鎧を、
女の子はあろう事かそれを試着したのだ。
「おじさん、これ何ゴールド?」
「いや、それただの見本だから……持ってってくれ」
「えっ、いいの?ありがとう!」
女の子は簡素な剣とハリボテ鎧を持ち帰り、店を出て行った。
……不思議な奴だったなぁ。
武器屋が主人公とは意外