ぱーへくとな将棋小説かくお
中川七段は秒読み28秒まで考えたのち、2二同金として、銀をとった。その駒音はそれまでより、弱々しく聞こえた。読み上げが行われ、対局席も解説席もしばし沈黙に包まれた。
ここで、羽生二冠は、眉間に皺を寄せ、身を乗り出した。彼は気付いていたのだ。そして、もう一人、気づいた男がいた。解説役の加藤一二三九段である。彼は大盤を見ると、「あれ、あれ、あれ、あれ、待てよ、あれ、あれ、おかしいですね、あれ、もしかして頓死?えっと、こういって、あれれ、おかしいですよ、あれー?あれ、あ、歩が3歩あるから、あれ、頓死なのかな?ええ−!これ頓死、あ、頓死なんじゃないですかね」
と奇声や裏声を交えながらまくしたてた。
どうや! すごいやろ!