弟が小学三年生の頃、両親が離婚した。
暴力的な父親。そして、男好きの母。
弟は私の本当の弟ではなく、父以外の男と、私の母の間に生まれた子だった。
もう、離婚の原因は弟にあるといっても過言ではなかった。
でも、その事を憎んだ事はない。
私の本当の家族は、弟だけだった。酒に酔い、暴力を振るう父なんて嫌いだった。
いつも家に男を連れ込む、母が大嫌いだった。
いつも私の心を支えてくれたのは、弟だけ。だから私は、弟を引き取ると言った母についてきたのだ。
私の父ではない、義理の父親。その男は、金持だった。
私や弟だけでなく、母までもを食っていかせられるような経済力を持っていた。
けれど義父は、私の事を拒否したのだ。
「俺の子供じゃない奴と一緒に暮らしたくない」
そう言った彼の言葉を、私はまだ覚えている。
当時17歳の私は、その言葉にしょうがない事だと何故か納得してしまった。
厄介払いでもされたかのように借りられた、アパート。
バイトをしていた私の口座に、母が毎月10万円だけお金を振り込んでくれるとのことだった。
ほう