とうとう残る磯野一家は幼いタラオと年老いたフネだけになってしまった、タマは今朝フラりと外に散歩したきり戻ってきていない。
中島が犯人だと疑われたこともあったが、全てにアリバイがあったのとわかめの件で白と判断された。波平が死んだ混乱乗じて家から離れようとしたものの、護衛に穴があいているとの指摘で日にちはのびた。
気づけばもう二人、あんなに騒がしかった食卓は中島を足したとしても静かなもので、フネにはとても耐えられない静寂だった。
まだ現状をはっきりと理解できていないタラオは何度もいなくなった家族の行方を聞いては、中島とフネを困らせた。
タラオに悪気がないのはわかっている、それでも何回も死んでしまった家族のことを聞かれるのは嫌で、現実を突きつけられて苦しくて、ある日フネはタラオに平手打ちをしてしまった。
痛いですと泣き叫びながら食器洗いをしてくれている中の元へ走っていった。フネはすぐさま後悔した、弱々しい老人の、さらに直前で力加減をした平手打ちの威力なんてお察しものだろう、それでもタラオが痛いと泣きながらフネから逃げるように走っていったのは、ショックだったから、なのだろう。
減っていく家族、増えていく空間にタラオはいつも怯えていた。きっと子供ながらに理解はできずとも何かを感じとっていたのかもしれない。
フネは絶望した、たった一人残った家族を傷つけてしまった、嫌われてしまった、と。普段のフネならばすぐに謝りにいこうと動いたはずだった、まず平手打ちをしようとすら考えつかなかったことだろう。
しかしフネは疲れていた、とても疲れていた。もう楽になってしまいたかった。それをしなかったのはタラオがいたからだったのに今はもうタラオすらいない、フネは、限界だった。
中島がどうにかタラオを泣き止ませ、疲れて眠ってしまったタラオのために布団をしいた後フネの元へいくと、フネは波平のコートで首をつり死んでいた。
プランプランとフネが小さく揺れる度に、コートを引っかけられた木がキィキィと鳴いた。
m子「まとめサイトに出しましょう!!これ!!」