立てば着席、座れば起立、めまぐるしく進行する式は静寂に包まれていた。
歩く姿は3年前の入学式より少し寂しそうで、制服は少し窮屈そうだ。3年.......そうか、もう3年過ぎたのか。何年教師をやっていても、この日だけは慣れることはない。今年で私も定年だ。彼らは最後の教え子だ。私にとっても、最後の卒業証書授与式。彼らの明るい未来を願って、私は口を開く。
「卒業証書、本校での過程を完了した事を、ここに証す------------
卒業証書が揺れている。
左右、卒業証書に丁寧に添えられた彼の手が震えている。
否、私の手も震えているのだ。
彼は馬鹿に丁寧な手つきで卒業証書を受け取ると一歩下がって頭を下げ、私に向き直る。
堂々とした視線、きっと彼は立派な大人になれるだろう。
-----------------卒業、おめでとう。」
テクニック賞確実