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河川敷。ベンチに座った文学少女が何やら難しげな本を読み、その後ろを老夫婦が通り過ぎる。
穏やかに、ゆっくりと時間が過ぎ去っていく。
私は暇潰しにスマートフォンを起動させ、話題のアプリで電気ネズミや死にかけの魚を探す。
一方、その近くで私の兄は盗まれたバイクを探している。探すのを協力しろと言われたが、友人との約束があったため断った。
しかし、友人との待ち合わせ場所の河川敷でばったり出くわしてしまったのだ。何故友人はここを待ち合わせ場所に指定したのだろう。
この待ち合わせ場所の問題点には、夏の太陽がインドア派の私にとって大敵になる、ということもあるのに。
近くの自販機でジュースでも買おうか、なんて考えていると、「見つかったぞ」という兄のような声が聞こえた。
そりゃ良かった。なんて他人事のように思う。というより他人事である。
私の方はレアなキャラクターも友人も見つからない。だけどもう少しゆっくり待とう。
河川敷の雰囲気は私をそういった考えに至らせるのに充分だった。