そういえば、大学へ進学したあたりで母の知り合いが訪ねてきたのだ
「君はここの家の子かな?こういう人、知らない?昔お嫁さんに来たはずなんだけど、家が分からなくてね」
威厳のありすぎるおじさんだった
「それ、母です」
この人は死んだことを知らされていないのだ
地域ぐるみでいなかったことにされている母が見つかるわけない
かいつまんで説明した
おじさんは言葉を失っていた
そのまま泣き出してしまった
母のいとこだった
おじさんに拾ってもらえたらよかったのになぁ…
父方の方はお前のこといらないんなら喜んで差し上げるだろ
おじさん…かわいそうだ。