あるアニメがオススメだと友人に言われ、もう一人の知り合いと彼女を含めた三人で一緒にそのアニメの録画を鑑賞した。今日の午前の出来事。
良作だった。作画も良く動きも滑らかで人物も個々のキャラがよく引き立てられたものだった。唯一、ところどころ薔薇臭のあるシーンを除いて。
見終わった感想としては「いい作品だけど………」と複雑なものであった。良作ではあるけれど、薔薇臭のせいで素直に認めたくない。同性愛に偏見があるわけではない、だが、動きの一つ一つと猫撫で声には生理的な嫌悪感が湧き上がる。
もう一人の知り合いは途中から携帯をいじっていた。彼女は元よりBLというジャンルが大嫌いであった。
で、最初に勧めてくれた友人が意気揚々と感想を訪ねて来た。
そうしたら知り合いは携帯から視線をあげて、わたしと一瞬視線を交わし、少し困ったような表情を友人に向けて告げた。
「BL嫌いだから、あんまり……」
友人はその一言にブチ切れた。
天地がひっくり返るかのような勢いで「どこが?どこから見てもまともなスポーツアニメだよ?キミそういうの嫌いだからって過敏になっていない?」とまくし立てる。勧めてくれた時と同様、まるで嵐のような剣幕である。わたしは否定も賛同もできず二人の成り行きを見守った。
知り合いはそんな友人の声に少し笑いを漏らした。苦々しい笑いだ。
そのまま平静に「そういうのに慣れてない人からすると、充分おかしいよ」
その言葉に友人はふと戦意喪失したかのように口を閉ざす。しばらくの沈黙が過ったのち、友人は録画したディスクを取り出すなどの後始末をしながら「ごめん、わたしこういうのよく見てるから……わかんなかった、ごめんね」とわたしたちに言った。
ちゃんと顧みることができた友人は立派だな、と半日経つ今でも嬉しさが胸に篭っている。腐女子は聞き分けのない者が多いと聞くし、実際そういう輩が過半数存在すると思うが、少なくとも自分の友人が違うのなら本当に良かった。
最初にブチギレた時点でまともじゃないと思うんですがそれは