愉悦に唇を吊り上げていると、やつは何やら空を飛んでいた。
空を飛ぶ、だと?想定外だ。しかしまあ、良いだろう。マリカバナナは先鋒にしかすぎぬ。これしきの事でやつが死ぬとは考えてもなかったのだし。どうやら屋上に向かってきているらしい。何ともまあ、都合の良い事で。
「ふっ……」
空を飛ぶのなら、こうしてくれよう。
「くらえレイコ……エターナルフォースブリザード!」
全身の魔力を振り絞り、吹雪を降らせる。もちろん、ただの吹雪ではない。マイナス百度にまで冷め切った極上の粉砂糖だ。一粒一粒は細やかであるといえども、これだけの量、勢い、そして温度。
さしものやつといえど、ひとたまりもなかろう!
「はーはっはっげほっげほっ」
大声で笑ったら今度は口に吹雪が入ってきた。うめぇ、粉砂糖うめぇ。甘味に舌鼓をうちながら、私は笑う。確実であろう勝利を、喜んで。