その熱気を感じた時。私の首筋に、死神の鎌がかけられていた。例えとかじゃなく、本当に。一歩動けばそのまま死ぬ。それがひしひしと伝わってきた。
見えてくる。おぞましい怪物が。やつはその手にマイクラのマグマを持って飛行していた。バケツ一杯のマグマをドット絵にしたような、そんないっそ馬鹿らしくなるような、間の抜けたような外観。
しかし、私を死なせるには十分な力を持つもの。
「……あ、ああ」
馬鹿だった。本当に馬鹿だった!私は油断していたのだ、舐めきっていたのだ。やつの……レイコの力を。本当にやつをどうにかする気なら、吹雪に用いていたのは粉砂糖ではなくカルピスだったはずだ。なのに、私はそれをしなかった。
それはなぜか?答えは簡単。慢心していたからだ。本当は、マリカバナナという地味に引っかかる仕掛けだけでも十分だと思っていたのだ。粉砂糖吹雪だって、やりすぎだとも心のどこかでは思っていた。
……その結果が、このざまだ。
「……はは」
やつは近づいてくる。それに伴い、マグマの熱気が。身体がどんどん溶けていく。雪でできたこの身体は、熱に極端に弱いのだから。ああ、私は、ここで……
ジュッ。