〈小話〉凶器
日本のとある地方で、殺人事件が起こった。被害者は中学生で、死因は絞殺である。被害者の遺体は、被害者の家の近所にあるゴミ箱に突き刺さっていたらしい。その衝撃的な遺棄の方法には、遺族たち−−特に彼の父親−−は怒り狂っていた。
犯人の見当は一切ついていない。アリバイのない人間が多すぎるのだ。例えば、被害者の死を特に悲しんでいた父親は、無職であり、死亡推定時刻中は遠くへ行っていない。
だから、このまま事件は迷宮入りかと、誰もが暗澹たる思いを抱いていた。
だが、その暗い気持ちの殆どが、吹き飛ぶ出来事が起こった。凶器が見つかったからである。それは紐で、側溝のヘドロの下に埋まっていたという。凶器の紐は、すぐに然るべき機関へと送られた。
送られてきた凶器の紐を見て、ベテラン警察官の男は意地の悪い笑みを浮かべながら、部下に語りかけた。
「おい、凶器の紐の持ち主……つまり、犯人がわかったぞ。被害者の父親だ」
部下はやや興奮気味に、
「詳しくお願いします!」
と言った。すると、ベテラン警察官は、和かに言った。
「狂気の“ヒモ”だからだよ」
その後、彼は左遷された。
一番怒り狂ってる方が真犯人....あるある
>>538
お褒めの言葉ありがとうございます