極東拠点

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1:悪魔の倫理学者シャルガフ:2018/12/07(金) 20:27

(この地域は寒冷地帯となっている。冬には、風雪がおこり、街全体は雪で覆われている。
そして港の海域の二割ほどが凍っており、太陽が顔を出す時には、その光で氷が輝いて幻想的な風景を見ることができる。また港町は風雪なのにも関わらず、ところどころの工場での運営は行われている。)

2:悪魔の倫理学者シャルガフ:2018/12/07(金) 20:36

第二帝国では、興味深いことにヴァンピール民族とデス民族との国民統合の理念が謳われているようです。しかし生物学上、例外を除いて吸血鬼は生きるために人間に害を及ぼすことになります。そして吸血鬼、人間、この両者は何千年も前から憎み合い、その観念はいまもなお、帝国の基底に流動しているでしょう。こういったことから考えてみると、やはり将来おこりうる帝国の崩壊は、民族対立による政情不安定といったところでしょうか。

3:悪魔の倫理学者シャルガフ:2018/12/08(土) 11:12

人間たちには僕が悪魔であることなど知らない。
そして街の人たちは、僕を気立てのいい商人だと思い込んでいるよ。
…人間の苦痛と恐怖は切り離せないものなのか。
僕はそれをこの目で確かめる必要がある。
(重い鉄塊に縄で縛り付けた何人かの少年、少女たちにナイフを向ける)
おっといけない、君たちは商品だったね。ちゃんと吸血鬼たちの元に届けなくちゃね。

4:悪魔の倫理学者シャルガフ:2018/12/08(土) 11:19

一体全体、なんのために多額の金を支払って、君たちを手に入れるのか…。まあ僕としては、かなりの利益を得るからいいんだけ…ど、
(一番左端に縛り付けられた少女が、嫌だ嫌だといって泣き叫ぶ。シャルガフは血がこびりついたテーブルの上に置いてあるノコギリを手にする。)
おい、そこの君、いい子だから黙ろうね。

5:悪魔の倫理学者シャルガフ:2018/12/08(土) 11:23

(ところどころ、赤い肉がこびりついたノコギリを見て、少女は何かを察知したように黙り込む。シャルガフはそれを見て笑顔で頭を撫でてやる。)
いい子だ。これで商品を傷つけずに済んだ。君のおかげだよ。

6:悪魔の倫理学者シャルガフ:2018/12/08(土) 11:38

(震えている彼らを見てシャルガフは、マッチを手に持って、それを擦り合わせ火を灯す)
少し寒いね、暖かくしようか。
(さっきの少女が頷く。シャルガフは火がついたマッチを地面に捨てる。すると、部屋の中央部が激しく燃え上がる。火が灯された部屋には、全体的に光が届き、さっきまで大部分が暗闇で見えなかったのに対して、見える必要のないものまでみえるようになった。それを見た少年少女たちは、吐瀉物を吐き出す子や、急激に震えだす子など、言葉にすら発しなかったが、目がそれを物語っていた。)
怖がらなくてもいいんだよ?君たちはこうはならない。これらは全部不良品だったのさ。君たちは違うだろう?クライアントの要望通り容姿は美形端麗を僕が厳選した。だから、安心してほしい。

7:悪魔の倫理学者シャルガフ:2018/12/08(土) 11:46

(しばらく時間が経つと、呼び出し用のベルが鳴る。外は風雪。こんなときに誰が来るのか。もはや答えは明快だった。シャルガフがベルを鳴らした客人に、少年少女たちの元に案内すると、左端の少女を解放する。)
よかったじゃないか。これからは君を指名した彼の言うことを全て、なんでも聞くんだよ?いいね?
…そんな顔しないで、いつまでそこに立っているんだい?さっさと歩いて。

8:客人:2018/12/08(土) 11:52

ぐふふ、そうだ。私がきっちりと君の面倒を全部見てあげよう。そのかわり、私の言うことは全部聞くんだ。いいかな?
(太った男で歯牙の生えた客人は、気品のある服装を身につけている。吸血鬼で金持ちと思われる。少し興奮ぎみで、股が少し膨れ上がっている。
少女は泣きながら、許しを請うが、客人は少女の手を強めに握りとり、テーブルの上に金の束が積まれたカバンを置いて行くと、そのまま泣きわめく少女を強引に連れていってしまう。)

9:シャルガフ:2018/12/08(土) 11:53

ふぅ、取引は成立ですね。またのお越しを。
残りは5人、これでまた一儲けできる…。

10:悪魔の倫理学者シャルガフ:2018/12/08(土) 12:09

(ここは北エガリア立憲王国、第二帝国の干渉や、共和国連合との同盟もないため、比較的平和な王国である。内政は民族統一がなされ、立憲政治が行われており、東側の連邦国家との重要な通商をとり行う港町があるため、景気もなかなか良かった。そのため、気候は風雪であろうと港町の人々は明るく元気に暮らしていた。そんな中で、近頃では誘拐事件が多発していると言う。少年少女を中心とする市民が行方不明となり、事件は一向に解決されず。足がかりすらもわからない状況であるため、ちまたでは悪魔が街に取り憑いたなどの噂があった。
シャルガフは、人柄の良さと知識人階級として街ではそこそこの知名度があり、中等部、高等部教育機関にも要請されるほどのものであった。しかし彼の真相を知る者は誰一人としていなかった、誘拐された少年少女たち以外は。)

11:客 吸血鬼:2018/12/08(土) 12:10

金ならいくらでもある。ここにいる全ての人間の子達を、買い取らせてくれないか

12:悪魔の倫理学者シャルガフ:2018/12/08(土) 12:52

お客さん残念ですが、これらの商品にはすでに注文者がいまして、何か商品の特徴やご要望がございましたら、次回までに取り合わせておきますよ。

13:客:2018/12/09(日) 00:21

くそっ!俺は今こいつらが欲しいんだよ! !

そう叫ぶと、太った吸血鬼は拘束されている少年少女の所へ駆け寄り、彼等を解放する。

14:客:2018/12/09(日) 00:26

あっと俺の要望に応えられなかったお前は、こうしておく方が良いだろうな

彼は解いた紐を代わりにシャルガフの身体に巻きつける。その動きは光の如く、シャルガフは抵抗する術を知らなかった。

「こんなの理不尽だって?お前も理不尽にこの子達の人生を奪おうとしたんだから、文句なんか言えねぇよ。」

15:客:2018/12/09(日) 00:33

俺からの代賃だ。受け取るが良い

最後に異能力で店を破壊した彼は、こう言い残して店を去る。
「君達の為の平和な世界はちゃんと存在してるよ、安心して。」

彼も人間から転化した身である。初めからこうする目的だった。
満足げに目を細めた彼は、子供達と共に街を出た。

16:悪魔の倫理学者シャルガフ:2018/12/09(日) 15:35

まずいな。
取引が成立しなければ…僕が殺されてしまう。
僕の存命はこのビジネスに掛かっていたというのに。
(ボロボロの様相のまま、街へと向かった。金持ちたちから指定された容姿の子供を見つけるため、いつも講義を要請される中等学校へと向かう。シャルガフは冷静さを保つように、錠剤を飲んだ。そして、理事室へと入り、ぜひとも授業見学をしてほしいと誠実に頼み込んだ。結果、事務管轄理事長の許諾により校内の自由行動が可能となった。あっさりと自分の願いがかなったことにシャルガフは安堵する。)

17:悪魔の倫理学者シャルガフ:2018/12/09(日) 15:43

(時刻は経過し、下校時間となった。シャルガフは、気立てがよく子供たちからもそこそこ好かれていた。そしてなんといってもシャルガフの気前のよさは容姿からも大きく影響を受けていた。ヒトは第一印象で大きく変わるという、まさにその通りであり、シャルガフは容姿に恵まれていた。そして講義は、面白いとの評判もあった。こういったことを利用し、子供達に特別講義を開くと言って収集したのである。一方でやっかいなことに理事長や教職員等もニコニコとしながら見にくる始末であるから、本来の目的である「誘拐」をいかにして確実にそして、合理的に行うかが肝要となった。しかしながら、この状況では甚だ無理難題であるから、まずは教職員等のやっかいな者を排除する必要があった。)

18:悪魔の倫理学者シャルガフ:2018/12/09(日) 16:02

(だからこそ用意していた。一階の男子トイレから火事を起こしたのだ。そしてここは三階である。この状況で五人ほどの少年少女たちを誘拐する方法、単純であった。誘拐というよりは誘導。シャルガフの講義を見に来ていた教職員や理事長も慌てふためいている。子供達も怯えている中で、シャルガフは声を張り上げこう言った。)

皆さん、落ち着いてください!僕がかつて通っていたプレーン高等学校では簡単な手順にさえ従っていれば必ず生き延びられます。そのため、その時の犠牲者数は0でした。皆さんが落ち着いてしっかりと行動していれば何も怖くはありません。そもそも火なんてものは日常生活の上で必然です。火は人類の友とも言えるでしょう。だからこそ、その友に対して適切な対応をとれば何も心配はいらないのです。

(斯様に適当なことを言い、とりあえず寓意的に安心を与えたのであった。そして誘導体制は確立した。シャルガフ、教職員、理事長含めて、生徒を5人ずつ率いて1階にまで避難するという方法を採ったのであった。)

19:悪魔の倫理学者シャルガフ:2018/12/09(日) 16:08

(残りは5人の避難、シャルガフの担当だ。しかしシャルガフはあらかじめ別ルートでの避難経路を用意していた。校内は燃え上がっている。外は豪雪。シャルガフはマグナムを使って天井に弾丸を放った。すると天井は破壊されると同時に辺り一面に水が放出され、シャルガフたちがいる箇所だけに火を打ち消していく。そうして、西口ルートが使えるようになり、5人の子供たちを率いて、火の発生源であった西口から外にでることに成功したのであった)

20:悪魔の倫理学者シャルガフ:2018/12/09(日) 16:12

(シャルガフは、5人の子供達の腕を縛るようにして縄で拘束した。そして銃を向け、歩けと脅した。あたりは豪雪であり、そしてさきほどの校舎内の水の勢いも衰えたこともあり、再び学校は燃え上がっていた。また男子トイレなどの目立たない場所には、何人かの子供達を縛ってきたので、今頃は炎に焼かれて死んでいることだろう。シャルガフは自分を含め、5人の子供たちも死んだことにした。)

21:悪魔の倫理学者シャルガフ:2018/12/09(日) 16:14

(あれから1時間が経過し、やっとの思いで本拠地に到着した。そこで再び5人の子供を重い鉄板に縛り上げ、依頼主を待つことにした。シャルガフは疲れ果てて無言を保ったままでいる)

22:客人:2018/12/09(日) 16:29

(子供達は叫んでいた。なぜこんなことをするのか、シャルガフはどうしてしまったのか、解放してくれと。そんな中でベルが鳴る。客人が来たらしい。その客人は、筋肉が発達しており巨躯な肉体をしていた。そして風雪なのにもかかわらず、白色のドレスを着ていて、花を覆うほどの香水のにおいがただよった。その後ろには、黒人の吸血鬼と思われる護衛がいた。)
お邪魔するわね。イルドアよ、覚えているかしら?
合衆国西部の麻薬取引の利権の3パーセントをあなたに譲渡したあたしよ。
で、あたしが指定した例の子はいるかしら?

23:悪魔の倫理学者シャルガフ:2018/12/09(日) 16:31

どうも、先日はとてもお世話になりました。
例の指定子についてはこちらとなっております。
(シャルガフは真ん中の男子を解放すると、イルドアに差し出す。)

24:客人イルドア:2018/12/09(日) 16:34

あら?私が指定した子とはちょっと違うわね。
私は連合王国の俳優ジョン=ライトに似た子を指定したのだけれど、おかしいわね。全然違うじゃない!ねぇ、これってちょっと詐欺なんじゃないのかしらぁ!?

25:悪魔の倫理学者シャルガフ:2018/12/09(日) 16:35

いえ、あの実は少々、妨害行為に出くわしまして…、

26:客人イルドア:2018/12/09(日) 16:39

まってまって、そんなのだめよ。あたしが指定した子以外いらないし、そもそも、あたしここに来るのにどらぐらいの時間を使ったと思っているのよ!?ふざせないでちょうだい?全くあんたって最低ね……………そうだわ、これには制裁が必要だわ、そうでしょ、お前たち?
(護衛が頷く。)
じゃあ、お前たち、あれをやりなさい。
(それを了承した護衛たちが、シャルガフを強引にテーブルへ突き飛ばし、一人が背中を押しつけ、シャルガフの動きを封じる。むろん、シャルガフは抵抗するように暴れているが、もはや圧倒的な力の差で諦めているようにも見える。)

27:悪魔の倫理学者シャルガフ:2018/12/09(日) 16:44

(シャルガフは何をされるのか分からなかったが、とにかくやばいことだけは分かった。恐怖と絶望、心はただそれだけに支配されていた。悪魔であるのにも関わらず、また自分が残忍非道なのは分かっているのだが、皮肉なことに自分がこうして被るとは少しも思っていなかった。
まあ一人の護衛がカウンターの上に置いてあった、分厚い鉄の塊を先端につけただけのオノを見つけて、それを手に持ち、こちらへとやってくる。)

やめてぇくれぇ…なんでもするから、頼む…それだけはやめてくれ、勘弁してくれ…ぇ頼むから、僕は何も悪いことなんてしてないぞ…!公正にこのビジネスを成功させたかっただけなんだ…!これは…僕の失敗じゃない…たのむ…たのむ…

28:客人イルドア:2018/12/09(日) 16:46

見苦しいわね。はやいとこ、やってしまいなさい。
(護衛はシャルガフの右手首に向かって分厚いオノを振りかざす。)

29:悪魔の倫理学者シャルガフ:2018/12/09(日) 16:50

あぁぁぁ…ぁぁ…!!ぃぁぁぁぁあ…!!
(シャルガフは混乱していた。涙や鼻水、涎などで、顔の表情は支離滅裂としていた。連続する鈍痛に加え、オノは錆びているため、切れ味が悪かった。そのために、シャルガフの右手首を切断するのには、なんども打ち付けなければならなかった。赤い肉がなかなか千切れず、骨の芯はなかなか砕かず、最終的には、護衛が腕と手を思い切り引っ張って引きちぎっていた。シャルガフは身体から力が抜けその場に倒れこんだ。腕は自分の目の前に置かれて、絶望で心が飲み込まれた。)

30:客人イルドア:2018/12/09(日) 16:53

あっはっはっはっは。愉快愉快、最高じゃない。あなた、こっちの芸にでも転職したら?そのうちバラバラにされちゃうだろうけど。
んじゃ、またくるわね。次の時までに用意しておきなさい。じゃないと次はぶっころすわよ?
じゃーね、ワンアームボーイ。

31:悪魔の倫理学者シャルガフ:2018/12/09(日) 17:02

…う…ぁ…
(子供達はあっけに取られていた。シャルガフは無気力のまま大儀そうに、自分の切り落とされた右手を震えた左手で持ち、涙を流す)

32:悪魔の倫理学者シャルガフ:2018/12/15(土) 12:05

(どれくらいが経過したのか。頭に偏頭痛がしてなかなか立ち上がることが難しい。おまけに吐き気やめまい、耳鳴りも少なからず断続している。ややもするとシャルガフは自分が死ぬんじゃなかろうかと疑うほど、身体は重かった。しかしそんなことより、右手を切り落とされたことを想起する。シャルガフはイスに腰をかけ、一向に黙っていた。だが、いつまでもそうして呑気にしていられない。なぜなら、5人のうち3人の子供がいないからだ。

一方、町内では、夜遅くなのにも関わらず、捜索隊がシャルガフと5人の子供たちを探していた。
シャルガフは子供を含めて自分を火事で死んだことにしていた。しかし遺体が見つからなかったことや、そして何と言っても、シャルガフが子供たちを脅して拠点へと連行している時に、一人の女の子が落としたハンカチがこれらの運命を決定的に変えた。ハンカチは案の定、学校から近くの所に落ちていたため、ある教職員がそれを発見し証拠品として調査してみたところ、ハンカチはその子のものであることが判明した。これによりこの火事は、何者かの作為によるもので、何者とは、シャルガフなのではないのかと周囲は訝しみ始めたのであった。
シャルガフは、火事が起きても冷静に主体的に生徒、教職員に対し指示していたこと、避難方法としては、5人1組の生徒たちを教職員とシャルガフ自らで率いて担当するよう、提案したこと。そしてシャルガフが担当した5人の生徒が全員行方不明になったこと。また5人のうちの中の女の子のハンカチがなぜゆえか、学校の近くに落ちていたこと。これらのことを総合してシャルガフは疑懼の念を向けられることとなったのである。
この失策を、この問題をシャルガフは未だに想定していない、むしろ悪化の一途を辿るばかりであった。)


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