花屋の桃茄ちゃん

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1:しおちゃん:2015/04/15(水) 19:11 ID:ZRo

―ぱちり
すっきりと目を覚ましたはいいけど、部屋の中はまだ、真っ暗。
それでも、カーテンの隙間からほんのりと薄明かりが漏れていて、そろそろお日様が上る時間なんだってことは分かったので。
私はお布団からそっと抜け出して、極力音をたてないように気を付けながら、一階へ。
古い階段なので、ゆっくり下りないといつ陥没してもおかしくないからね。
そんなことを考えながら、私は洗面台の前で洗顔と歯磨き。
それが済むと、もう一度自分の部屋に戻って、制服に着替える。
お水と泥で制服が汚れないように、きちんとエプロンと三角巾を付けて……。

2:しおちゃん:2015/04/16(木) 13:57 ID:ZRo

「おはよー」
私はドアを開けて、お父さんとお爺ちゃんにご挨拶。
私の家は、私と、お父さんとお爺ちゃんの3人暮らしで、商店街の一角で花屋を営んでいます。
お母さんはというと、私が5歳の時に亡くなったの。
でも、寂しくないよ。
友達もいるし、商店街の人たちも大好きだからね。
「おはよう、桃茄」
「おう、早いな、桃茄」
「うん。マーガレットが50で、ピンクローズが……いくつだっけ?」
「薔薇が175。で、そのうちの130本がブーケぞな」
「分かった。ありがと」
私はお爺ちゃんに、ちゃんとお礼を言って。
奥からほうきを持ってきて、お外へ出ます。
カラカラカラ。
ドアを開けると、ほんのり香る、春のにおい。
「んー……気持ちいー」
やっぱり早起きっていいよね。
何だか得した気分だよ。
ザッザッと、ほうきで掃いているうちに、真っ暗だった外がだんだん明るくなってきていて。
「あら?桃ちゃん!おはよう」
「あ、おはよ」
「あれ?桃花ちゃんじゃん」
「ん?おはよう。桃花って、誰?」
「あれ?桃花じゃなかったっけ?」
「違うよー!私の名前は桃茄!かじゃない。なだよ。も・も・な」
「あははっ。ごめんごめん」
「おー!桃ちゃん!今日は晴れるってよ!」
「うん」
次から次へと、いろんな人が話しかけてくる。
でも私は、この時間が大好きだし、とっても嬉しいんだけどね。

3:しおちゃん:2015/04/16(木) 15:09 ID:ZRo

ザッザッ。
私はほうきを動かし続ける。
「あれっ?桃茄。早いな。何してんの?」
この、金髪の男の子が有栖川 翔。
私、柊 桃茄の幼馴染です。
「お店の仕込だよ。翔はお手伝いしないの?」
「するわけねーだろ!面倒くさい」
「そっか。でも、そっちはパン屋なんだから、うちよりも大変なんじゃないの?」
「別に。ってか、知らねーよ。んなもん」
それだけいうと、翔は顔を引っ込めてしまいました。
朝は早起きの翔だけれども、いつも翔は遅刻しています。
理由は分かりません。
だけどたぶん、二度寝だと思うんだ。


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