小説
小説の批評・創作用掲示板☆
黄色と、エナメルバッグ。(19)
イメージカラーは、黄色。そんなフレッシュレモンみたいな黄色……ではなくて、もっと卵焼きみたいな、食欲をそそるような黄色。君をみたらいつも思い出すその色は、今となってはどこにでもある色で、目に入ると少し苦しくて、いや眩しすぎて、目を背けてしまいそうになる。
あぁだけど、いい思い出だったなって、そんな風に思えてしまう自分がいること。あの時の私が、あの時のあの人を好きだっただけの話だと、そう納得してしまった自分を、少しだけ誇らしくも思うのだ。
靴ひもを見た。黄色だから、三好と同じ一年生だ。
走ってきたのは女子3人。ショートボブの子と髪の毛を結んでいる子、もう一人髪の毛が方ではねてるタコウィンナーのような子。おそらく今の大声はショートボブの子が発したようだ。先ほどに続けて、恐ろしい声のボリュームで三好に詰め寄った。
「ちょと、早く帰ってきてよ!なにしてるの!?こっち大変だったんだから」
「先生に頼まれ事してたんだよ」
面倒くさそうに、三好は目をそらす。
「まじでさ、そうやって先生にいい子アピールしなくていいから」
タコウィンナーの子が少し冷ための声で吐き捨てた。
えっ、そんなこと言うか、普通。と内心驚いてしまい、声が出なかった。この子の頭どうなってるんだ?
その3人の女子はワイワイと三好に話しかけ、なにやら教室で問題が起こったこと、明日の学年委員会で間に合わないことなどを話していた。仲がいいようにも見えるが、そうではないようにも見える。
そんな大変な時に引き留めてごめんよ、と内心思いながら無言でその場を去る。その時、ポニーテールが揺れ、一人の女の子がこちらを見た、ような気がした。
こっちにも書いてます。ぜひ。
https://estar.jp/novels/25770936
あまり喜ばしくない日記(36)
ぱゆむです。
※基本自分用
※多分不定期に更新
※感想等くださればレスします
7にちめ
ともだちがありをたべたことがあるといっていました。
「ありはかわいいけどおいしいのかな。」とおもいました。
おいしそうにはおもえないです。
でもかわいいものにはかわりないです。
8にちめ
いなごをたべました。
いなごはむしで、つくだににします。
おいしいです。
「いなごはいきているのになんでおいしいのかな。」とおもいました。
おにくやおさかなとはまたちがいます。
9にちめ
みちをさんぽしてたらのらねこがいました。
のらねこはにゃーとないていました。
かわいかったです。
うちのいえはぺっとはかえないからかえるいえがうらやましいです。
10にちめ
ちはるちゃんのいえでおむらいすをたべました。
ちはるちゃんのおかあさんはりょうりがじょうずでした。
おむらいすにねこのかおがかいてありました。
ねこはかわいいのですきです。
たべるのがもったいないけど、かんしょくしました。
かわいいものはおいしいです。
激龍 〜女の復讐〜(40)
____静かに暮らしたい。
その願いはいとも容易く踏みにじられた。
最愛の彼は奪われ、クラスの女子達からは陰湿ないじめ。
幸せだった日々が完全に壊れていく。
…絶対に許さない。
今、復讐に拳がうなる。
上条と同盟を結んだ翌日。
いつもと変わらない2-1の外に、今日も九条がいた。
鬼塚に命令されているのか、自分の意志か、あるいは両方か。
どれでも知ったことではないが九条が目を光らせているのは事実。
その間は決闘を行うことは不可能。だから監視期間にある程度の情報を集めることに専念した方がいい。
まずはそれぞれの番長の情報だ。
「川崎、水仙の番長について教えてくれますか?」
「ああ、うん…いいけど」
「ではまず2年を教えてください」
あたしが尋ねると、川崎が記憶を探るようにして話を始めた。
「私と鹿島のラリアマを除けば、残りは小川、清水、早瀬の3人だよ」
「その中で味方にできそうな奴は?」
「まあ…2年は大体仲間にできると思うけど」
「なぜですか?」
「簡単なことさ。私ら2年が鬼塚に対してあるのは恐怖だけ。みんなほんとはウンザリしてんだよ」
はぁ、とため息をついて肩をすくめる。
「3年は鬼塚の信者だし、かといって1年は恐怖が薄いから反抗心もない。
つまり…その間を取った2年が一番仲間にしやすいんだ」
「…そうですか」
ならば優先順位としては2年、1年、3年になる。
その中から選別して、仲間にできないと踏んだ奴は四方統一戦が始まる前に病院送りにすればいい。
早い段階で復讐の計画が鬼塚にバレることは絶対に避けないといけないからだ。
そう考えると、とりあえず2年は安泰…
ふと、川崎がぽつりと告げた。
「……だが、早瀬。あいつだけはちょっと別だ」
「…別?」
「早瀬凜。5組の番長で…2年の中じゃ一番強い」
「…」
その早瀬とやらがなぜ「別」なのか。
2年の中にも鬼塚派がいるということか?
もしそうならそいつは四方統一戦前まで後回しだが…
「あいつは誰ともつるもうとしない一匹狼気取りのアマさ。だから何を考えてるか分からない」
「…少し厄介ですね」
「ああ」
鬼塚派か、それとも反鬼塚派か。
分からなければ選別の仕様がない。
孤高の番長。その胸中を明かすには…
「私が探ります」
「え?」
「友達になるんですよ、彼女と」
川崎は唖然として目を見開いた。
「ダチってあんた…」
「計画の内容を告げずに素性を探るには一番でしょう」
「ハッ、ズルいやつ」
川崎が笑う。その背後の廊下を、九条ともう一人、何者かが通り過ぎた。
「…あれは…」
「ん?」
くるり、と首を後ろに回す。
「…ああ、あれだよ」
「あれ?」
「早瀬だ」
親指が差す女は、不機嫌そうな顔で九条の後ろを歩いていた。
…あれが早瀬凜。
ENDING (59)
十数年前の掲示板で、ひと夏だけ流行った都市伝説があった。
三十人分の魂を売れば、魔法の力を売ってくれる人(?)が居るらしい。
1-Bは、クラスの誰かに売られた。
「それってつまり、誰かがアリスさんの代わりに殺したってことになるんですか……?」
さっきとは違う、自然に脚がガクガクと震え出す。
「そういうことになるよね。」
そう言うアリスさんの声も少しだけ震えていた。
もしそれが本当だとするなら、一体誰が?何のために?
「他の魔女に何か知ってないか聞いてみる。ごめんね、連絡ありがとう。」
アリスさんはそう言うと、私の返事も待たずに通話を切ってしまった。
私はそっと耳からスマホを離し、そのまま膝の上に手を載せる。
魔女にうちのクラスを売ったのは、岡田さんと倉野さんじゃなかった!
心のどこかで疑ってたんだ。むすびがあんな風に言ったのは出任せだって頭では分かってた。でも本当に二人ならやるかもしれない、なんて思ってしまっていた。
何の証拠もないのにクラスメイトを疑うなんてサイテーだ。そして実際に死なないと疑いが晴れないなんて、もっと最悪だ……!
「なんだってんだよ」
ほんとに、うちのクラスが何したって言うんだよ。
暗い気持ちのままトイレから出ると、鏡の前に誰かが立っていた。
「あ」
鏡の前で頻りに前髪を直していたのは、真中ちゃんだった。
やば、いつからここにいたんだろ。今の会話、もしかして聞かれてた……?
「りんねちゃん、教室に鞄置きっぱだったよ?」
真中ちゃんはにこりと笑ってそう言う。
「ありがと。もしかして私の声聞こえてた?友達と電話しててさ」
さりげなく尋ねると、真中ちゃんはポーチからティントを取り出して唇に塗布しながら、
「んー?ずっと音楽聴いてたから聞こえなかったよ」
そう言って自分の耳を指差した。
確かに両の耳にAirPodsが差し込んである。
「ピアスのせいでさ、入れるの大変なんだよね〜」
そう言いながらティントの蓋を閉める真中ちゃん。
「よし!じゃあね、また明日!」
真中ちゃんは洗面台に置いてあった鞄を肩に掛け、手を振りながら階段を降りていった。
「バイバイ」
私も手を振り返した。
「はぁ……」
教室に戻ると、もうほとんどのクラスメイトが下校していた。唯一残っていたのはしみずだった。
「りんね!」
私の鞄を持って廊下に出てきたしみずは、それを私に渡してくれた。
「ありがと」
「うん、一緒に帰ろ〜」
私達は肩を並べて廊下を歩いた。
「はー、湯川さん達がまとめて転校なんてびっくりだよね」
しみずの言葉にびく、と肩が跳ね上がる。それを悟られないように肩を回して誤魔化した。
「転校先も同じ学校なのかなぁ」
笑顔でそう話すしみずを他所に、私の心臓はゆっくりと、どく、どくと音が聞こえる程強く脈打っていた。
玄関でローファーに履き替え、校舎を出ようとした時、ふと胸ポケットに入れていたスマホが振動した。
飛び付くようにスマホを取り出し、縋るように画面を見る。予想通りアリスさんからLINEが来ていた。
「りんね?」
不思議そうな顔でしみずが私を見る。
トーク画面には、『家に着いたら連絡くれないかな。電話したい。』と書かれていた。
「ごめんしみず、用事あったの忘れてたから先帰るね」
「あ、うん、分かった〜」
有難いことにしみずはそれ以上追求してこなかった。私は手を振ってガンダした。
最寄り駅に着いて地上へ出てすぐ、私はアリスさんに電話を掛けた。
『もしもし。』
アリスさんはすぐに出てくれた。
「もう最寄りなんで大丈夫です、何か分かりましたか?」
そう尋ねると、アリスさんは弱々しい声で、
『誰も何も知らないって。それどころかちゃんと私が殺したことになってた。』
「そんな……」
僅かな希望は一瞬で打ち絶たれた。
『もし私じゃないってバレたら、きっと私は処分される。りんねちゃんには先にさよならを言っておくね。』
「そんなのいいから早く犯人を――ちょっと待ってください」
私は電柱の前できょろきょろと周りを見回している女の子を見て、ふと足を止めた。
黒髪のシースルーバングに、軽く巻かれたポニーテール。面識のない顔だったけど、その制服は今まで死ぬほど見てきた。
「城雲高校の子だ……」
『え?』
アリスさんがそう呟く。そしてその女の子とふと目が合った。
「あ」
何故かその子は私を見た途端こちらに駆け寄ってきた。狼狽えていると、その子はいきなり頭を下げてきた。
「すみません、白いボブの女の人の連絡先とかって分かりませんか!?」
いきなりそんなことを言い出した。
「え、えっと?」
白いボブ、って、確実にアリスさんのことだよね。
「困ってるんです、ほんとにお願いします!一昨日その人と一緒に歩いてたでしょ?」
知らないふりをしようとしたけど、どうやら私達が知り合いなのはもうバレてるみたいだ。
電話は繋がりっぱなしだし、ミュートにもしてないからきっとアリスさんにも筒抜けだろう。でもどうしてこの子はアリスさんを探してるの?
「勝手に個人情報教えるのはちょっと、」
「お願いします、信じてもらえないかもしれないけど、友達があの人に殺されたかもしれないんです……!」
この子、もしかして戸川さんに売られた人達の友達?
「それってどういうことですか?」
思わず尋ねてしまう。
「一ヶ月くらい前、友達と駅のホームでティックトックを撮ってたんです。私は反対側のホームから友達を撮ってたんですけど、そしたらその子が急に線路に飛び込んで……。後から動画を見たら、白いボブの女の人が友達のスマホを奪って線路に投げ捨ててたんです。多分反射的に拾おうとして、そのまま……。」
「あ」
あの日だ。私が乗ってた電車で起きた人身事故のことだ。
「警察に証拠の動画を渡しても取り合ってくれないし、焦ってつい友達に送ったらツイートされて、でもすぐに消されたんです。後からフォロワーが多い友達に頼んでまた拡散してもらってもすぐに削除されて。
お願いします、名前だけでも教えてください!」
「な、名前くらいなら……」
別にそれくらい教えてもアリスさんは困らないだろうし。こんなに切実そうなんだから、名前くらいならいいよね。
「関口アリスさんです。でも私もそんなに親しいわけじゃないし、また待ち伏せしたりするのはやめてもらえると嬉しいです」
私がそう言うと、その子は泣きそうな顔で、
「ありがとうございます、突然声掛けてすみませんでした。じゃあ」
そう言って何度も頭を下げて、駅の階段を下っていった。
『勝手に名前教えちゃうなんて酷いよ、りんねちゃん。』
「すみません、でもちょっと同情しちゃって」
『でも別にいいよ。あれ本名じゃないから。』
「は?何それ」
何だそれ、私が嘘吐いたってことになるじゃん。グルだと思われたら嫌だなぁ。
「まぁいいけど。でも大丈夫ですか?顔覚えられてるみたいだし、見付け出されて刺されるかもしれませんよ」
ちょっとだけ脅してやると、アリスさんは「それは困るなぁ。」と笑った。
『それより、問題はりんねちゃんのクラスメイトを殺した人が分からないことだよ。どうしよう、関係者じゃないなら大変なことになる。』
そう言うアリスさんの息遣いは荒くなっている。
「とにかく、どうにかして探し出しましょ。また誰かが殺されるかもしれないですから。」
私はそっと手を握り締めた。
また、探さなきゃいけない“犯人”が増えてしまった。
ゲーム(9)
・ゲーム・
良家の子息子女が多数集まる都内の女子校名門私立・黒星学園で、約6年間いじめを受けてきた貧乏主人公は遂に、教師よりも学園を牛耳る2つの勢力を相手に強いメンタルで立ち向かう。
敵達とのゲームから生き残り、主人公は無事学園を卒業出来るのか?
長裕は、社長室で話を聞くと、絶望する。
「……え……どういう事ですか?」
「私の娘と離婚してやってくれ、君も分かってるだろう?もう娘には君への想いなんか無いんだよ」
「でも……でも、何とかやってみます!子供にはなるべく気付かれないように気を付けてるので!」
「はぁ……言いたくなかったが、君と別居している間、娘はこちらで別の男と暮らしていたんだ」
「え?」
「相手の男は大手企業の後継で、私自身も彼を気に入っている、とてもじゃないが、長裕君が張り合える相手では無い」
「……お義父さんにとっても、洋子にとっても、僕はいらないって事ですか?子供がいるんですよ!?子供に罪はないのに!」
「子どもに罪が無いことくらい分かっているとも、だからこそこういう大人の身勝手で将来梨乃が苦労しないように、私の娘も通った黒星学園に入れてやりたいと思ったんだ、ここなら大学まで一貫で立派な寮もある、いざ社会に出た時も学園の名がきっと役立つ、私からのせめてもの償いだ、梨乃が20歳になるまで、教育費は娘に代わって私が支払う事にする」
「……あ、あの、ちょっと待ってください……先程から梨乃の話しかされてませんけど、花乃は……」
「梨乃は君に懐いているが、花乃は母親と一緒が良いと言っている、それに、君との離婚が成立したら陽子は花乃を連れて海外に移住すると言っている」
「嫌、ちょっと待ってくださいよ!梨乃と花乃を本格的に離す気ですか?梨乃はまだ9歳、花乃は7歳ですよ?それに梨乃は僕らの別居で母親とも妹とも引き離されて、それでも我慢してるんですよ!梨乃にだって母親が必要なはずです!」
「だが花乃は絶対に母親から離れたく無いと言っている」
「そんな!」
「花乃だって母親が恋しい年頃だ、当然だろう、梨乃に母親が必要かどうかは梨乃自身が決める事だ」
そう言われ、しばらくの沈黙の後、長裕は口を開く。
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