生まれたその瞬間から私は必要のない子だと決められた。暗い地下の石の道を通って、その奥深くの小さな部屋に閉じ込められた。
「いい子でいればいつか出してあげるわよ」
御姉様はそう言った。だから私、ずっと良い子にしてたのに。どれだけ寂しかったかなんて御姉様にはわからないだろうね?
答えてくれない人形と話して、手足の無い壁と球蹴りをして、時々床にしゃがみこんで泣いてたの。
やっとできた友達は御姉様達がすぐに殺しちゃうし、おもちゃはすぐに壊れちゃうし。
ねぇ、いつまでここにいればいいの?
いつになったら私は外に出られるの?
何も知らないのよ、私。空の色も、草の匂いも、何も。本の中でしか知らないのよ。
だから、御姉様。
私、あなたをやっつけて外に出るわ。
登場人物
九十九 リサ
刀の九十九神。限りなく人間に近い外見と、異常なまでに強い妖力のせいで地下に幽閉されていた。
可愛らしい容姿だが、好奇心旺盛で気が強く、『あること』に触れると発狂する。
椿のことは『御姉様』と呼んでいるが、尊敬するつもりなど毛頭無い。
九条 椿
九尾の狐。血は繋がっていないが、リサの姉的立場。
九条館の主。
肉体が滅んでも、また新しい肉体を作れるため、ほとんど不老不死と言っても良い。
紫陽花
百目鬼。
九条館の女中。
戦闘のセンスがあるらしく、それなりに妖力も高い。
やはり一番得意なのは窃盗のよう。
百合
針女(はりおなご)
紫陽花と同じく九条館の女中。
髪の先に針が付いており、釣りのように人間を捕まえる。
男好き。