想い。

葉っぱ天国 > 小説キーワード▼下へ
1:梨穂:2015/10/31(土) 19:05 ID:ZRo

「才能」
あれは、11歳……。小学5年生の時。
あの時、初めて気が付いた。
周りの愛情がどこに注がれているのか。


「じゃあ、もう一回弾いてみようか」
先生に言われ、私はピアノの鍵盤に指を置いた。
そして、楽譜をちらりと見ながら音楽を奏でていく。
「……うん。ちょっと47小節のところで早くなったよね。家で、そこ練習しといてくれる?」
「はい」
私が答える。
レッスンが終わり、外へ出ると、辺りは真っ暗だった。
私の名前は、北白川唯。
ピアノと英会話が好きな小学5年生。
「唯!」
聞きなれた声が聞こえる。
顔を上げると、お母さんが来るまで待っていてくれた。
「お母さん!」
私が言うと、お母さんは笑顔になる。
車に乗ると、カーナビにニュースが流れている。
それは、母親が4歳の子供を虐待死させたというものだった。
「……怖いね」
「そうね。大丈夫よ、お母さんたちは、唯の事を愛しているから」
「うん!」
本当に、とっても幸せ。
こういう子供って本当にかわいそう。
だって、私は恵まれているもの。
両親の愛情にも、才能にも。


書き込む スレ一覧 サイトマップ ▲上へ