【登場人物】
涼森侑希…主人公。自己中心的な性格でクラスの女王様。
土屋ありさ…侑希と同じグループに属する。チャラい。
古澤樹里…侑希と同じグループ。ぶりっ子。
黒木愛璃…ミステリアスなクラスメイト。侑希達と対立。
坂口陽平…クラスの男子の中心。侑希達と仲がいい。
運動会当日。
「あんたそれマジないわー」
侑希は仁王立ちして立川由依の前に立った。
「あんたヤラセでリレ選になれたくせして、ちょっと足捻った位で出れない?笑わせないで」
「本当に痛いの…。ごめんなさい」
涙目で土下座する由依に侑希は手招きをする。
「ちょい、ついてきて」
由依は言われるがままに侑希についていく。
そこへ、ありさと樹里も後を追う。
行き先は無人の女子トイレだった。
突然、由依は床に仰向けで押し倒された。
「リレーに出れるように私達で治療してあげるから」
樹里とありさは由依を取り押さえる。
侑希は取り押さえられた由依にバケツの水をかけた。
それから掃除用具入れからモップを取り出し、殴りかかる。
ありさ達もそれに加わり、奇襲をかけた。
「お、お願いです、もうやめて」
「…ふーん。そんなに言うなら絶対にリレー出なさいよ。1位で私にバトンを渡さないと殺すから。」
リレーは男女2人づつの4人でクラスの代表だ。
どの競技よりもかなり配点が高いので重大なものでもある。
男子は陽平と、陽平の親友の相川星哉。
女子はクラス一速い侑希とそれ程速くない由依だ。
由依は侑希達のいじめの標的で、他のクラスメイトからも少し距離を置かれていた。
本当は侑希の次に速いのはありさだ。
だが種目決めの日に樹里が、
「せんせぇー。りれぇなんですけどぉー、由依さんがぁやりたいそうなのでぇ、ありさがぁ譲るってぇー!」
といつものぶりっ子した声で言ったのだ。
勿論、由依は断れるはずもなくリレ選に決まった。
「そんな…。1位でバトンを渡すなんて無理だよ…。私が足遅いのは知ってるよね…?」
「あっ、じゃあもうすぐリレー始まるから」
そう言い残して3人は女子トイレから出て行った。
由依は濡れた頭を抱え込んだ。
「最低ね。あいつら」
手足を組んで立っていたのはクラスメイトの…。
つづく