願い

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1:シア:2016/12/27(火) 12:11

人は誰でも、何かを背負って生きている。

2:シア:2016/12/27(火) 12:45

人は誰でも、何かを背負って生きている。何でもいい。借金、責任、誰かの命、社員、悲しみ。そう、どんなものでも背負っている。でもそれがわからなくなった時に人は…。

「…分からない。」
なんでここにいるのか。なんで手首を切ったのか。血だらけのカッターが月の淡い光で照らされる。
「あーあ。気分最悪。私何もわからないや。まあ元から頭がおかしいって言われていたけど。」
体から血が抜けていく。その感覚は何にも変わることのできない快感だった。どんな行為と比べてもこの快感は一番だった。
「そろそろ力が入らなくなってきた…。やっと死ぬんだ。」
「へー、死んでいいのかい?」
「へー、これ走馬灯的なやつ?すごくあんた、うちの猫に似てる。死んじゃったけどね。」
猫に伸ばそうとするも手は血だらけでその白い猫に触るのには気が引けた。
「神狩 優子〈かがり ゆうこ〉さん、そんな歳で死を選ぶなんて、すごいね。」
「ありがとう…。でも、もう眠いからさ。寝かせてくれないかな?すごく眠らいろ。」
「ほら、もう呂律が回らなくなってきたね?君の願いを一個だけ叶えてあげるよ。こんな歳で死ぬ子は他にもいるんだけど…今日の会議で決まったんだよね。神狩を生かそうって。」
「言はれしょ。やっと死ぬんだって…。」
呂律が回らない。
「でも会議は会議だし。死ぬのはちょっと待ってもらうよ。さ、願いを言ってよ。呂律が回ってないと聞きづらいから、少し血を戻すね?」
頭に状況が流れ込む。ああ、血が戻ったのか。
「じゃあ…今すぐ私を殺しなさい。」
「うわ、そうきたの?やめてよ。違うお願いでお願いできるかな?」
「じゃあ…鍵を頂戴。」
「鍵?」
「どんなものも開くことのできる鍵。」
「そんなんでいいの?」
「うん。」
「じゃあ…明日にでも白猫宅急便に届けさせるよ。」
そう言って猫は私の手を握って傷を癒した。こんなの、夢が走馬灯。今日は眠いから、寝てしまおう。


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