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1:ミラ:2016/12/29(木) 22:29

何があっても前に。

2:ミラ:2016/12/31(土) 07:50

「居場所がない。」
「帰れない。」
「帰りたい。」
「怖い。」
「助けて。」
「誰か。」
「手をとって。」
「連れ出して。」
「ここから。」
銀色の長い髪をゆらゆらと揺らしながらこちらへゆっくり一歩一歩歩みを止めない少女は無関心に言葉を一言ずつ並べた。
「君はさ、誰かが助けに来るとでも思っているのかな?すごいね。そんな英雄がいたら。全く君の無行動な上に消極的すぎるところには全く呆れるな。」
確かに。全く動こうという考えはない。この、鎖に繋がれているわけのわからない状況でも、だ。
「君が居場所がないって言うから、私はこういう行動をとるに至ったのに。無関心にもほどがあるよ。せっかく人が親切にしているのに。」
少女は語り続ける。意味もなく、ふらふら、くるくると歩き続けている。
「はー。疲れた。」
少女は足を止めた。
「君は感謝を知らないの?ありがとうとかさ、言葉があるのだから…」
俺の髪をつかんでうつむきがちな顔を無理やり上げた。目が合う。
「言葉を知っているんだから、何か話したらどうなのかな。」
少女は頭を投げるように手を離した。
「お言葉に甘えて。あなたは誰?」
「やっと話した。あ、質問に答えてあげなくちゃね。私はフレミカ。通り名的なのもあるけど、聞いておく?」
「通り名…?」
「そう、通り名。“残酷無心な花園フレミカ”って呼ばれているんだな。」
少しドヤ顔と自慢が目立つ。
「かっこ、いいですね。」
「君にはわからないでしょ。私名乗ったんだから君も名乗りなよ。」
煽りのうまいやつだ。
「俺は、神狩〈カガリ〉。」
「カガリ…か。君はいかにも仕事にしか熱意や関心意欲を出しそうにない人だね。名前も神を狩る仕事にしか興味がなさそうだ。」
「あんたこそ残酷無心なフレミカなんてさ、まさに何事にも残酷無慈悲なやつみたいだね。」
「ふふ、でも今の状況では君も確かめようがないね。」
「この鎖が俺についていて助けが来ないあたりがすごく残酷なことをしていると思うよ。」
「でも、君は平常心を保っていてその上私をちっとも怖がりもしない。だから大丈夫だ。」
断言された…。まあ気になることはまだ色々あるんだが。

3:ミラ:2016/12/31(土) 14:07

「君はさ、逃げたいとかないの?」
「ああ、ないね。別に。」
「私が人間じゃなくっても…?」
人間じゃない、か。
「…」
「あはは、流石の君もだんまりだね。嘘だよ。」
「違うだろ。」
「え?」
「嘘じゃねえだろって言った。嘘だったらもっと騙してやれたぜって感じの顔するはずなのに、なぜあんたはそんな悲しそうな顔しているんですか?」
「はは、その敬語ムカつくね。腹がたつよ。」
顔をそらしてそっぽを向いた少女は話をそらした。
「話をそらすんですか?それなら俺なりに考えがあるんですよ。」
「はは、はははは。そんな状態の君に何が…キャッ!」
「足に鎖なかったから。俺、足長いからさ。ごめんね?」
「状況なんて関係ないみたいだね。なんのつもり?」
壊れてきた。考えどうりとことん壊していこう。
「あんたは安い女だな。そんな嘘の下手な顔で、そのうえ鎖に繋がれている自分より不利な相手に負かされているなんて。」
「君が鋭すぎるのが悪いんだよ。恨まないでね?」
「…っ!」
あごを優しくつかまれまた目が合った。これは、微妙な顔だな…。怒りと憎悪、それから悲しみ。ぐちゃぐちゃな感情に見あった顔だ。
「…殺してあげるよ。今、私の手で。どうせそれすら君は怖くないんだよね。」
死が怖くないと見られたか。どうせ死ぬのは一緒だし、違うのは生きた時間だけ。おまけで言うならばその時間の間に起こった出来事の思い出と経験のみ。そうは思っているものの、死は怖い。いつ死ぬか予告なんてないし。でも今はイレギュラーな状況。予告をされてしまった。きっちり今。と。
「顔が近いな。」
少女は急に顔を赤くした。もらった。こいつは男に免疫がない。
「…殺してこそ愛!…的な考えの持ち主か?」
「ちっ、違…!」
少女は離れた。俺はそれを逃さない。足を引っ掛けて俺の方へ倒す。少女は俺の足に馬乗りになった。
「な、なな、なにすんだ!」
「…え?まあ、今からするのはキス…ってやつかな?」
「は!?意味わかんなっ…んっ!」
口付けをする。少女は急にされたものだから頭が回っていないらしい。息継ぎをするので精一杯の様子だ。隙だらけなものだから少女の内側に潜り込む。舌を絡ませて。少女の唾液を感じ、味わいながら。
「ん、はっ…んぅ。」
少女の力がすっかり抜けてしまったところで鎖を力ずくで外す。力は親父から血を引いて強いらしい。
「…ん、待ちなよ。」
息を切らしながら両腕を広げた。
「俺が何者かも知らないで連れさったりするからそういうことになるんだよ。俺が誰か知ってて誘拐ならすげえ度胸だな。」
制服のネクタイを整える。
「俺は神狩屋〈カミガリヤ〉だせ?書いて文字の通り神を狩るほど強いんだよ。」

4:クリスタル:2016/12/31(土) 18:21

おもしろいです!続き楽しみです♪
あと、失礼だと思うかもしれませんが、空白を空けた方が読みやすいと思います!


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