日常とは何ぞやか

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1:河菜野 春:2017/06/16(金) 23:15

「くあぁ…」
目を擦り乍、女は気だるく起きた 時計の針は七時を差している。寝惚け眼で外を見れば遅刻しそうなのか女学生は小走りで学舎の在る方向へと赴く。ばんからの学生服に身を包んだ男子学生はその後を追う様に走る。

女は何時もの風景を見つめた後は乱れた黒髪を掻き、欠伸をし乍自らの寝ていた蒲団を雑把に畳んだ。
「…そういえば朝御飯が未だだった」
女は台所に向かい朝御飯を作った。
炊きたての白米に少し焦げた焼き鮭、
豆腐の味噌汁が女の目を覚ます。
「いただきます」
食べようとしたとき何かの視線を感じた。

2:河菜野 春:2017/06/17(土) 02:17

「ニャア」
視線の正体は庭に居た野良猫であった。おそらく焼き鮭を狙っているのだろう、ずっと此方を見ている…女はそんな事を意に介さず箸を進めた。食事が終わると女は余った鮭の皮をさっきの猫に上げた。すると猫はソレを瞬く間に平らげ、御礼だと云わんばかりに女の足にすり寄りニャアと鳴き、去っていった。
「御礼…か、ふふ…野良猫にしては律儀だな…」
すり寄られた足を撫で乍、女は小さく呟いた。

3:河菜野 春:2017/06/17(土) 08:46

「それにしても退屈だ…今日は何をしようか」
女は寝間着から黒の和服へと着替え、黒の紳士帽を被って少し古くなった下駄を履いて外へと出掛けた。朝の喧騒が過ぎたこの時間帯 自分の家の道は人が急に少なくなる、
下駄の音があすふぁるとで出来た道にとても良く響いた。女はこの音が好きである、何故なら女は引籠りで面倒臭がりそして人嫌いであるのだから…

4:河菜野 春:2017/06/17(土) 18:00

「矢張り この道は良い…下駄の音が響き、人が居なくなった様なこの静けさ…今この瞬間私が生きていると実感出来る最高の時間だ…あ、そうだ久し振りにマスターの所に行こう 元気にしてるかな?」
女は下駄を鳴らし乍、昔良く行っていた珈琲店に向かう事にした。
「覚えていてくれてる哉…」

5:河菜野 春:2017/06/17(土) 22:04

商店街にある珈琲店の前に着いた女は扉を開けた。扉に付いた小さなベルの音がカランと鳴る…するとカウンターの向こうに立っていた一人の白髪の老人が此方を向いた。
「おぉ…久しぶりじゃな梔(くちなし)顔を暫く見とらんから心配したんじゃぞ。淹れるのは何時もので良いのか?」
「久しぶりマスター、うん、何時ものでお願い」
店内に漂う珈琲の香り、蓄音機から流れる<れこぉど>の曲、そして他の客と楽しそうに談笑するマスター…
「変わって無いなぁ…」
「ん、?如何(どう)かしたのか?」
「あ、いや何でもないよ」
梔は椅子に座った。

6:河菜野 春:2017/06/17(土) 22:06

«作者より»
…はぁ…やっと出せた主人公の名前。駄作ですが評価御願いします。荒し、批判はやめてください。

7:河菜野 春:2017/06/17(土) 22:52

«作者より弐»
初めて書くので先に小説を始めている方々より見苦しい点は多々ありますが許して下さい。あ、因みにまだまだ続きます。

8:河菜野 春:2017/06/17(土) 23:12

«作者より参»
書ける限り書きますが、亀更新です御了承下さい。

因みに此処はっぱ天国の他のスレでは
«アビス»と云う名で書いています。キャラが全く違うので良ければ見てください。
※«アビス»と云う名で他のスレに悪口を書いている方がいる場合はそれはなりすましの方です。注意して下さい

9:河菜野 春:2017/06/18(日) 21:57

※続き、始めます
「梔よ、御前さんは未だ引籠りを続けておるのかのう?もういい年じゃろうに…」

「いきなり其処に突っ込むんだ…良いのよ別に、それにマスター私はまだ二十二だ良い年と云われるには早すぎるよ。」

「矢張りあの事を引き摺っておるのか?」

「……其の事には触れないでくれる?私はもう…」

「済まぬのう…ホレ早く呑め冷めるぞ」
「えぇ…嗚呼、矢張り美味しいねマスターの珈琲は。」

珈琲を呑み乍談笑する…この時が明日も続けば良いのにと願う梔、だが現実は彼女を«あの道»へと容赦無く引き摺ろうとする…

10:河菜野 春:2017/06/18(日) 22:37

«作者より肆»
…題名と中身が合って無い事に気付く今日この頃。それでも見てくれる人はいるよ…ね?

他の人の小説見てみたけど、やっぱり負けてるなぁって思う…いい作品には良いコメントも付くんだなぁ…羨ましい、良し私も評価して貰えるように頑張って書きます!

11:匿名:2017/06/18(日) 23:32

コーヒーを飲む日常を、「あの道」が脅かす。
これからですね。
手塚治虫は、人間をロボットで、生命を不死で、表現した人です。
そんな風に、非日常で日常を発見するつもりですか。

12:河菜野 春:2017/06/19(月) 18:07

>>11
否、そんな心算(つもり)で書いた訳では無いさ。
コメントを有難う«匿名»さん。私の初小説を見てくれて嬉しいです。

13:河菜野 春:2017/06/19(月) 18:41

…バンッ!
扉を乱暴に開ける音がした。其処には黒のスーツに身を包んだ男が立っている、その手には機関銃が握られているそして男は口を開いた。
「…【組織】にお戻り下さい、梔様。首領も望んでいます」

「否(いや)だ、それに私を【組織】から追い出し、尚且つ瀕死の重傷を負わせたのは誰だ?そんな所に戻れと?馬鹿を云うな…」
珈琲を飲み乍、梔は云い放つ。

「そうですか…ならば…消えて下さい…!」
男は機関銃を此方に向けて撃ち放つ。銃撃音が店内に響き次々と撃たれる客達。そんな中、梔は只一人男を見つめ乍銃撃をかわし続ける。
「く、梔!?これはどういうことかのう!?」

「マスター、其のまま隠れてて…」
梔はマスターを落ち着かせると、溜め息を一つ吐いた。
「ハァ…やっと普通の«日常»を手に入れたと思っていたのに…御免ね、【阿予】約束、守れ無かったよ…」

14:河菜野 春:2017/06/19(月) 19:39

梔は懐から刀を取り出した。その刀は«刀»と呼ぶには黒くそして何処か禍々しい雰囲気を放っていた。
「この刀を握るのも久しぶりだな…
・・・斬ってやる、動いたらもっと痛くなるから…」

15:河菜野 春:2017/06/19(月) 22:06

そう云うと梔は男の右腕を斬り落とした。男の右腕からは血が噴き出し、男は無くなった右腕を押さえ倒れている。
「ぐうっ…!っ!…矢張り…変わって…いませんね…梔様…ですが…これで解りましたよ…貴方様…は…此方…側だ…」

「…黙れ」

梔は一言だけ云うと男の体を踏みつけそして手に持つ刀で男の胸を貫いた。辺りは硝煙と血が混ざり合った香りが漂う…。梔にとっては懐かしい香りでありそして最も忌む香りでもあった。

16:河菜野 春:2017/06/19(月) 22:15

«作者より伍»
御免ね…期待を持たせる展開にして。私文才全くの皆無だから…他と比べたら雑魚だよ…私は

17:匿名:2017/06/20(火) 17:13

文体好きだけどね

18:河菜野 春:2017/06/20(火) 22:29

>>17
え、本当?だとしたら嬉しいよ。有難う。

19:河菜野 春:2017/06/22(木) 00:31

梔は辺りを見回し他に敵が居ないか確かめると顔に付いた返り血を拭わずにマスターの元に近付いた。そして梔は其の侭話し掛けた。
「マスター、今まで有難う。真逆(まさか)組織が未だ私を追い続けているなんて思いもしなかった。でも其のせいで関係無い人達迄巻き込んで、そしてマスター、貴方も…貴方の店も…兎に角私はこの町から出ていくよ。さようなら…」

「ま、待つのじゃ!…」

名を呼ぶ頃には既に梔の姿は無かった。有るのは男の死体とうめき声を上げる客の姿。その中で只立ち尽くすマスター…店内には未だ硝煙と血が混ざり合った香りが立ち込めている…。その香りが彼女の本当の姿だとようやく理解した時、マスターは膝から崩れ落ちそして泣いた。

20:河菜野 春:2017/06/22(木) 08:13

一方その頃の梔は、あても無く夕闇に染まる街を歩いていた。己に付いた血も拭わずに歩く姿は周囲に虞(おそれ)を抱かせた。梔は思う
「あの頃と同じだ…」
何時の間にか街から離れた丘の上に居た。其処は梔にとって思い出の場所であり今の梔を形作ったとある人物と出会った場所でもあった。

21:河菜野 春:2017/06/22(木) 16:34

«作者より陸»
此処から過去編みたいなのを書きます
どうかお付き合い願います。

P.Sコメントをくれた«匿名»さんには感謝です。本当に励みになってます。

22:河菜野 春:2017/06/23(金) 01:17

とある丘の上に刀を持った一人の女が立って居た。周りには銃を構えた黒スーツの男達が居る。辺りは不穏な空気に包まれ、空は宵に染まり、地を照らしていた月は雲に覆われていた。そんな中、刀を持った女は男達にとある質問をした。
「なぁ、月が見えないのだが御前達を全員斬り殺せば雲は退いて月は又、地を照らすと思うか?」

男達は思った、此の女は状況が見えてないのだろうか。自分達は御前を囲んでいる。何時でも御前を殺せると云うのに。一人の男が質問に答えた。
「知らねえよ、只一つ云える事は御前は此処で蜂の巣になると云う事だ!」男が女に向けて銃を撃とうとした時、女の姿は消えていた。そして男の後ろに女は居た。そして女は刀を男の首に当てる、その瞬間男の首ははねられ宙を舞い、血飛沫をあげた。

23:河菜野 春:2017/06/24(土) 19:47

男達は慌てふためいている、その間にも女は男達の首を次々とはねていく。最後の一人になった男は女に命乞いをした。女は一言だけ云った。
「…何か云った?」…ザシュッ
最後の首をはねる音がした。

血に染まる丘、首が無い男達の死体の山、希望も絶望も無い澱みきった虚ろな眼で見下す女、そして其れ等を何時の間にか雲が退いていたのか月は光々と照らしている。女は云った。
「月が綺麗だ…だけれど此処に転がっている<肉塊(男達)>の所為(せい)で…」

女の名は梔と云う。人の首を翳(かげ)りも無ければ明るみも無く虚ろな表情ではねる姿に人はこう名付け、虞た。

「彼女は幽世(かくりよ)から来た鬼…«幽鬼»…«幽鬼の梔»、と」

24:河菜野 春:2017/06/25(日) 22:10

«作者より七»
小説らしくなってきた…かな?。

25:河菜野 春:2017/06/26(月) 23:03

暫く空に浮かぶ月を眺めていた梔の懐から携帯端末の音が鳴った。
「…もしもし?」
「やぁ梔君、終わったかい?」
首領からだった。
「ええ、終わりましたよ。男達の死体はどうします?」
「何時も通り処理班を向かわせているよ。嗚呼ひとついいかな?」
「えぇ、どうぞ」
「今そっちに新人を向かわせてるんだけど、その子の教育を任せてもいいかな?」
「…はい?」
梔は思考が固まった。

26:河菜野 春:2017/06/29(木) 10:46

首領は私が人嫌いだと云う事を知っているのだろうか…?
「首領、私が人嫌いなの知ってます?」
「うん、知っているよ。だからこそ任せてみたいんだよね〜、じゃあ宜しくね」
「首領?、切れた…弱ったな…」

頭を抱えて悩んでいると丘の下から複数の声がした。
「此方だよ」
「は、はい!」
「あ、あの方ですか?」
処理班と…新人か?…
私は処理班に男達の死体処理を任せ、取り合えず新人に挨拶をする事にした。
「私の名前は梔、貴方の教育係になる者だよ宜しく。それで貴方の名前は?」

「私の名前は【阿予】です!宜しく御願いします!梔先輩!」

そう云うと阿予はいきなり梔の両手を掴み上下に振った。驚いた梔は素早く振り払う。阿予はぽかんとしている。
「…いきなり触るのはやめてくれないか」
「ご、ごめんなさい先輩…」
「解ればいいよ、取り合えず帰ろう」
梔は新人である阿予を連れて【組織】に帰る事にした。

27:河菜野 春:2017/07/05(水) 21:52

組織の拠点に着いた、門の前には警備の人達が立っている。此方に気付くと梔に向かい深々と頭を下げた。梔は軽く会釈をし、拠点の中へと入った。阿予も頭を下げ続いて中に入る。梔は一言も話さずに返り血を浴びた姿のまま首領室へと向かう。阿予は其れを只見つめたまま、ついていった。


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