あの子の分まで  

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1:  すてっき・りとる・すたー  ◆06iI.:2017/09/02(土) 15:03





  何かを求めて 何かを探して 只闇雲に   >>2



  

2:  すてっき・りとる・すたー  ◆06iI.:2017/09/02(土) 15:07





  普段使ってる半値を聞いたら何処かで見た事が在るかもしれないし無いかもしれないし無いかもしれないし無いかもしれない人がのんびりと小説を書いていくだけのすれ。此処では違う名前で書くの。気分転換ってヤツです。

  きっとレスは大丈夫。辛口こめんとおっけー。評価とかしてくれると嬉しい。

  何時か蒸発するオチはきっと見えてる。のろのろ書いていくだけ。ぐだぐだですが如何か見守って下せぇ・・・・・・



  そんなこんなで小説の開幕です、どうぞお楽しみくだされ、。では、ほあたっ☆←



   

3:  すてっき・りとる・すたー  ◆06iI.:2017/09/02(土) 15:09




      第一話 ふたりぶん


  

4:  すてっき・りとる・すたー  ◆06iI.:2017/09/03(日) 19:58



 
 記憶なんて、忘れるためのものだと思う。きっと此の夢もそう。
 ライラック色の部屋。軽自動車がやっと通れるくらいの幅なのに、部屋の奥は見えない。部屋というより、長い長い廊下、と言った方が良いだろうか。兎に角ライラック色に染まっている、壁も床も天井も。他には何も置いていない。ただぽっかりと空いた空間に僕だけが居る。全く生活観のない此の部屋に僕は身震いをする、そして此処で何故か客観的にものを見ていることに気づく。
 ふと、名前を呼ばれた気がして後ろを向く。特に何の躊躇もなしに。そして現れた彼女。何処からか吹いた風に、彼女の長い髪がふわりと浮かぶ。まるで何処かへ飛んでいく紙飛行機のように。
 そう。紙飛行機のように。
 紙飛行機のように、僕の記憶も飛んでいく。すーっと飛んで風に流され、もう僕の手には戻ってこない。手にはただ空しく空気が乗っているだけなのだ。夢を見たという事実だけが乗っているだけ。
 僕は目を覚まし、また空しい空気を吸うのだ。頭をかき、「どんな夢だったっけ」と思い出すころにはもう中身は無い。まるで誰かさんみたいに。

 
    

5:  すてっき・りとる・すたー  ◆06iI.:2017/09/15(金) 20:26





 がちゃん、とドアの内側から鍵をかける。家に入るときに鍵が開いていたのに少しいらつく。弟にはいつも防犯上鍵を掛けろと言っているのに。田舎の島だからって、泥棒が入る確立は0%じゃない。
 憂鬱な気持ちを吐く息に込めて、その気持ちとは別れながら目線を下に下ろす。女物の靴が一足しかない。かーちゃんのだ。
「ただいまー。ねーちゃんは?」
 あと鍵閉めろよ、と付け足しつつ、居間でノートに鉛筆で何かをかいている弟の小唄に聞く。小唄はばっとリングノートを抱えると、「夕飯には帰ってくるってさー」と焦りを含んだ声を返してきた。僕はふーんと呟く。
「んで、小唄は受験勉強しなくていいのか?もう夏休みじゃんか」
 棚からポテトチップスの袋と箸を取り、ふとした疑問をぶつけてみた。小唄はまたノートに何かを書き出した。しゃっしゃっという鉛筆がノートに削られる音が耳に心地良い。
「なんでそんなこと聞くんだよー…てか夏休み明日からでしょ」
 ポテトチップスをひとつ、箸で挟み口に放る。一週間前に袋を開けて湿気を含んだのだろうか、ちょっと歯ごたえが良くなかった。ちょっぴり顔を歪めながら、心優しい兄は弟の質問に丁寧に答えてあげる。
「いーや、もう学校から帰ったんだから今は夏休みだね」
「なんだよその理屈…学校があったら疲れるし休みじゃない。体力的な問題ね、もう最近は長距離もきつくないけど」
 その言葉でこいつが運動部だったことを思い出す。こいつと僕は兄弟だけれど結構違う。小唄の方がエネルギーにあふれ、運動部に入っているけれども僕は高貴な身なりなので運動は出来ない。部活も帰宅部だ。付け加え、小唄は勉強が出来るし。
 いつのまにかポテトチップスの袋が空になっている。袋に留まったポテトチップスのカスを口に流し込むと、変なところに入って思わず咳き込んだ。呼吸を整えると、僕は話をちゃんと戻す。
「まー、小唄は島の高校に行ったら勿体無いだろうな」
「何かあさんとかねーちゃんみたいなこと言ってんだよ」
 小唄が機嫌悪そうに目線を鋭くする。やーい反抗期だー、と心の中で囃しながら僕は居間を去った。



  

6:  すてっき・りとる・すたー  ◆06iI.:2017/09/19(火) 19:51




 そうだ、本を読もう。
 弟の居る居間を出たところの短い廊下で何故かそう思い立った僕は、すぐ右のドアノブに手をかけた。
 90度に開くドア、木目調の背の低いタンス、白い机と電気スタンド、鶯色のカーテン、フローリングの床、薄い青のシーツのベッド。別になんてことも無い僕の部屋は片付いていて少し目が落ち着かない。前は色々と散らかっていたから、昨日の夜に片付けてみたのだがどうやら目が慣れないらしい。ベッドにすとんと座る。
 ばっと手を横に伸ばしてタンスの上ら辺にあったはずの文庫本を取ろうとする。が、ただ手は宙を舞っただけ。そうか、昨日本棚にしまったんだ。のろのろと僕は立ち上がる。そこまでしたのに、取りに行くのが面倒だという思いが頭の中から消えない。またぼすん、とベッドに体を預ける。そう高価でもないマットレスは僕の体を弾ませはせず、ただぼふんと音を立てただけだった。
 と。睡魔のお出ましだ。度が合わなくなってきた眼鏡を外す。そのときやっと自分は制服を着たままだと気づいた。くそ、部屋着に着替えなくては。目を擦る。
 だが結局、うーん、と寝返って睡魔に事を任せる。ああ、僕のことを面倒くさがりだなんて思わないで欲しい。ただ、僕はすぐ睡魔にやっつけられる雑魚なだけだ。
 
 兎に角、僕は夏休み初日の前日の夕方に早い眠りについた。

 
 


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